【大紀元日本7月22日】米経済誌『フォーブス』が今年発表した大富豪世界ランキングで、マイクロソフト社のビル・ゲイツ氏を抜き一位となったメキシコのカルロス・スリム・ヘル氏 (Carlos Slim Helu)。中南米最大の携帯電話会社アメリカ・モビル(America Movil)や、固定電話会社テルメックス(Telemex)などを所有し、メキシコの通信王という異名を持つ。2010年の総資産は約4兆8000億円。しかし、その日常生活は意外に「質素」だという。
スリム氏が商売を始めたのは10歳の時。家族にデザートや飲み物を売って収入を得るなど、少年時代から既に商才があった。後に、国が不況に陥ると、それをチャンスとして積極的な投資を行い、巨万の富を築いた。スリム氏の伝記『カルロス・スリム、未発表の肖像(Carlos Slim:unpublished portrait)』を執筆したホセ・マルティネズ氏(Jose Martinez)は、「他の貴族や富豪、ロイヤル・ファミリーとは異なり、スリム氏は本当に質素な生活をしています」と語る。
スリム氏はレバノン出身の父親と共に、1940年1月にメキシコ・シティに移民。大学では土木エンジニアリングを専攻した。1990年、メキシコの国営だった「テルメックス」の専売権利を取得。その後、所有していたアメリカ・モビル社の株価が1年で35%上昇し、同氏の持ち分が230億米ドルとなり、資産総額は185億米ドル(約1兆6650億円)も増えた。
また、昨年、スリム氏は財政赤字を抱えていた米紙『ニューヨーク・タイムズ』に2億5000万米ドル(約225億円)を投じ、メディア業界をアッと言わせた。これについてマルティネズ氏は、「本人は発言権と否決権を持っていません。本人はただ、危機に陥った同企業を応援したいだけで、将来はそれらの株を売却するつもりのようです」と話している。
メキシコ国内の至るところにスリム氏の投資した企業があり、ラテンアメリカでの投資額は過去10年間で600億米ドル(約5兆4000万億円)を超える。世界一の実業家となったスリム氏について、マルティネズ氏は「彼は倹約家というより、謙虚。彼のオフィスも簡素で、複数の幹部が同じ秘書を使っており、コンサルタントも雇っていない」と話す。スリム氏は自らの月給を、2万4000米ドル(約210万円)に固定している。
スリム氏はかつて、「自分は実直な人間だし、子どもたちもそうだ。贅沢な趣味もないし、何につけ控えるようにしている」と語っている。
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