【党文化の解体】第7章(8)

【大紀元日本6月19日】

4.子作りを制限する、夫婦は革命の同志である、男女に区別なし、女性も天の半分を担える

1)産児制限

2006年、中国メディアがこのような事件を報道した。湖北省武漢市黄陂区蔡店村の村民・黄求生の妻は二人目の子供を妊娠して9ヶ月目に入った。貧乏で「計画生育委員会」のスタッフに賄賂を贈る金がなかった黄求生の家に、ある日、スタッフらは突入して、妻を手術室に連れ込んで堕胎薬を注射した。当日の午後、妻は新生児を生んだが、意外に堕胎薬の注射を受けても新生児は生きていた。スタッフは黄求生に生きている新生児を捨てるよう強制した。

午後5時ごろ、区役所の便所から新生児の泣き声を聞きつけた老婆(劉)が、男子便所で新生児を発見した。この新生男児は頭部以外、全身が糞の中に浸っていた。かつて医者を務めていた劉は新生児をすくいあげて、簡単な手入れをした後、診療所に連れていき、臍帯を切って消毒のための注射もした。一段落して、劉は新生児を布団に包んで、玄関に座って水を飲ませていたところに、「計画生育委員会」のスタッフ5人が現れた。一人が劉から新生児を奪って、地面に投げつけた。「ドン」と音がして、痛みで赤ちゃんの四肢がひどく痙攣していた。スタッフはまた新生児を蹴り、最後に、この子を田んぼに入れて溺死させた。このような事例は中国では決して個別現象ではない。

「計画生育」の政策は中国共産党の無神論教育の具体的な現われとなっている。大きな天災と戦争が起こった時でも、新生児を殺すことは重大な反人類犯罪と見なされるにもかかわらず、無神論の教育を受けた各級の官吏は中国共産党の命令に従って、「人命は最も重要」という基本的な道徳観念も持たず、新生児を殺すことに少しの罪悪感も感じない。

西側諸国の伝統では、危険な時に、生きる機会を優先的に子供と女性に残す。弱者の権利を尊重する民族こそ、はじめて全人類の権利を尊重することができる。赤ちゃんの人権を軽視する中国共産党は、他の人の人権を尊重するはずがない。農民に対する圧搾、鉱山事故を処理する時の冷酷無情、陳情者に対する迫害、新生児を殺すことなどなど、みな中国共産党の「弱肉強食」の価値観を反映している。必然的に、中国共産党の人権記録は悪化する一方である。

強制手段を取らないと、中国の人口膨張問題は解決できないのではないか、と多くの人が疑問を抱えるかもしれない。人口膨張は表面の問題に過ぎず、中国共産党が政策を打ち出す時の未熟さこそ問題の本質である。共産党は人口が多いほど良いと思うと、国民にたくさん子供を作るよう奨励し、今度人口が多すぎると思うと、すぐさま手段を問わずに人口抑制に走り出した。「子沢山」を励ますか抑制するか、正反対の二種の政策とも、中国共産党のような無謀且つ横暴な政党によって打ち出されたものである。今中国の人口は30年前より数億も増えたが、ここ数年、党が経済面の締め付けを緩めた結果、人々は以前よりお腹いっぱい食べることができ、以前より住まいの環境がよくなったではないか。つまり、根本的な問題は人口にあるのではなく、中国共産党自身にあるのだ。

人口問題を抱える国は少なくないが、政府が強制的に「計画生育」を実施するのはごく少数の国である。筆者は人口問題の解決に反対しているのではなく、命を尊重せず思うままに横行する中国共産党のやり方、特に人命を殺害するやり方に反対しているのだ。

出産制限はすでに深刻な結果をもたらした。中国の人口構成は老齢化を呈しており、退職人口が増え続ける一方で、労働人口は日ごとに減少し、年金体系が崩壊の危険にさらされている。目下、夫婦一組で老人4人を扶養しながら一人の子供を育てている。もしこの子供が成人後両親の面倒を見られない場合、中国には老齢者への生活保護体系がないため、老後の親は何の保障もない境地に陥るに違いない。農村の家庭はいったん女児を生んだら、その娘が嫁に行って両親も年を取った時、農業をやる働き手がいなくて、生計も立てられなくなる。

計画生育はまた男女出生の性別的な均衡を壊した。昔、女児を生んだら、まだ引き続き男児が生まれるまでずっと子供を作る自由があったが、今子供を一人しか作れないので、家系を継がせるために、多くの人は女児を妊娠したと知った時点で中絶の手段を取っている。これで新生児の男女のバランスが深刻に崩れて、120:100となった。これは20年後、6分の1の男性(約4千万人)が配偶者を見つけられないことを意味する。それに伴う社会安全の問題も起こると想定できる。

出産制限の下で、都市部の若い世代はほとんど一人っ子で兄弟がいない。全家族の寵愛は一人っ子に集中して、「小皇帝」と呼ばれる一人っ子たちは利己的でわがままで、責任感と思い遣りが欠ける。一人っ子たちが社会の中堅になる時、彼らの性格の欠点はきっと中国社会全体に良くない影響を及ぼす。

実は、『詩経』に「天は民衆を生んで、物有れば則有り」とあるように、自然界には規則があって、人口にも自然的な調節力を持っている。普通、政府にとって、人口を調節する方法はたくさんある。人口学の研究結果および国連統計データを見れば、保障制度が整って国民の教育レベルが高い地区は出産率が低いという事実が分かるだろう。中国の統計データによれば、中学教育を受けたことのある女性の出産率は2.13に下がり、そうであれば中国の人口バランスが取れる。さらに、高等教育、大学教育を受けた女性の出産率はそれぞれ、1.82、1.11まで下がる。(これは1986年の統計によるもので、今はさらに下がっている。)

しかし、殺戮と強制統治に慣れた中国共産党は、強制堕胎には興味を示すものの、根本から人口問題の解決になる教育には興味を示さず、それに対する投資の少なさは世間をびっくりさせるものだ(GDPの4%未満で、アフリカの貧困国ウガンダよりも低い)。中国の公表データによると、2006年、中国の義務教育に使った費用はおよそ2260億元であったが、2004年の1年間だけで、中国共産党官僚の「公金飲食」は3700億元であった。言い換えると、中国共産党官僚が公金飲食を止めさえすれば、充分全国の学齢児童に義務教育を受けさせることができるのだ。そして、教育レベルが上がれば、人口増加の圧力を効果的に抑えられるのだ。

今世紀、たくさんの国が「家庭計画」の方法を取っている。例えばインドでは、法定の結婚年齢21歳を上回って結婚する者を奨励して、子供二人を作ってから進んでパイプカット手術をする夫婦に福祉と医療保険の面で優遇するなど、強制的な措置がない。メキシコ、トルコ、インドネシアなどの国にも「家庭計画」の政策はあるが、子作りの人数と年齢間隔を決める自由をいずれも法律で明確に規定している。

一方、出産率の低下に直面する西側諸国は、経済的な補助あるいは減税の方法で対処するだけで、政府が強制手段で出産をコントロールすることはない。実際に、各家庭の出産問題に干渉して、暴力で計画生育を実施させる政府は、世界で中国だけである。出産制限をする共産党統治下の中国が社会にもたらした問題は未曾有のものだ。

(続く)