【党文化の解体】第8章(3)

【大紀元日本8月28日】

1.誰に対しても警戒心を持ち、言葉に闘争意識を帯びる

1)誰に対しても警戒心を持つ

(2)警戒心の伝承

自分はそのような政治運動を経験していない、今はもう階級闘争なんかを言わなくなったため、自分にはそのような警戒心を持っていないと思う人がいるかもしれない。しかし事実上、習慣的な警戒心を持たせる社会の構造が依然として存在して、国民は誰であれその影響を免れない。

中国共産党支配下のメディアに、依然として「はっきりと認識する」、「厳密に用心する」、「厳重に警戒する」、「厳しく打撃する」、「反中国勢力」、「中国を滅ぼす陰謀は止まない」、「油断の思想を克服する」などの表現が伺える。これは常に人々の闘争心を奮い立たせている。

今日、親も自分が経験した政治運動を教訓にして、若い世代に「警戒」を教えて、このような警戒心理を代々に伝承させている。友達の間でもよく「××さんに対して用心しろ」と忠告して、警雲xun_モ識は生活の中で拡大されつつある。

中国共産党が作り出した「密告文化」は、今の時代になって消えたどころか、かえってもっと綿密に日常生活に浸透している。子供たちは幼稚園と小学校から、密告をすると利益を得られる。大学に入って共産党に加入して、または良い就職先を割り当ててもらうために、大学生たちは密告行為で党に対する忠誠心をアピールする。職場でみんなが密かに指導者の悪口を言う時、最も多く言うのは指導者が配置した「スパイ」かもしれない。みなさんの警戒心を緩めさせて、本当の話を聞き出すためである。

中国共産党の党組織はどこにも存在して、新聞雑誌からインターネットまで、学校から職場、日常生活まで、社会全体を統制して、国民の一挙一動も監視下に置かれている。一九八九年の天安門学生運動に対する鎮圧、陳情者を捕える、当局と違う思想を持つ人に対する抑圧、信仰団体に対する迫害から見て、中国共産党は一向に階級闘争を止めていない事実が分かるだろう。特に法輪功を迫害する中で、天地を覆い隠すほどの大批判、国民全体を動員、学校と職場で全員に法輪功に対する態度を表明させるようのやり方は、文化大革命とどこが違うだろうか。

中国共産党高層の腐敗とうそは国民に悪い「手本」を見せたため、社会全体の道徳水準は急激に下がり、道徳の下落はいっそう国民の警戒心を唆した。中国人はよく相手の「了見」を推測して、相手に「利用」されるかを心配する現象は、この警戒心がもたらした結果である。

数年前、海外に暮らすある中国系の商人は中国本土に行って、帰ってきてから感慨無量にこう話した。「中国の社会は極めて複雑に変わって、道徳と信用は存在しない。国民にとって信用に値するものがなくて、欺瞞が社会に充満している。政府は国民を信用しない、国民も政府を信用しない、法律は執行されない」、このような社会状態は、国にとって良い事といえるだろうか。

一つの習慣が定着するまでの過程は三段階に分けることができる。第一は自らの意志でなく、外部の力に押しつけられる段階。第二はよく強化されるため、条件反射になった段階。第三は受け止められて習慣的に、本能的に反応する段階である。中国人の警戒心は最初、中国共産党に強行して注ぎ込まれて扇動されたもので、それから毎回の政治運動の中で強化された。今日になって、人々の警戒心は本能化して、外部からの働きがなくても、とても自然な習慣になっている。

(3)悪い報いを招く警戒心

誰に対しても警戒心を持つという党文化の思惟を抱える中国人の生活は、とても重苦しいものである。警戒心は一時的に自分を守ったかもしれないが、長く見ると、本来誠意を持って付き合い互いに信頼して、ゆったりとできる生活は万事防備になった。最も親しい人でさえ信頼することができなくなって、生活の質は大いに下がり、気楽に生活を楽しむことができなくなり、精神病と他の心理疾病が増えた。精神病専門家の推測によると、中国で精神障害の疾病に罹る人数は一億人くらいだ。

(イラスト・大紀元)

戦場で警戒心を持つのは正常なことだが、日常で常に他人を防備するのは、決して正常な生活とはいえない。「誰に対しても警戒心を持つ」社会は正常な社会とはいえない。信用と道徳を励ます多くの国では、人間関係はとても簡単で、相手の本当の目的なんかを推測する必要がなくて、気軽にお付き合いをすることができる。

警戒心を持つ中国人は互いに協力し難く、対立が多い。社会全体にとって、このような警戒心のコストは恐らく計算できないほどとても高い。

警戒心を持つ中国人は何も信じなくて、当然、中国共産党体制の外の世界も信じなくて、世の中の本当の事実さえ信じなくなる。中国共産党に隠されてきた事実が暴露される時、国民は質疑して信じようとしない。それで、国民を騙すための中国共産党のうその宣伝は、より順調にその目的を実現できた。

警戒心理を持つ中国はまた国際社会との付き合いも支障が出やすい。中国共産党が扇動した警戒心と外国を憎む心理を持つ中国は、他国から信頼してもらい難いのみならず、自分自身も世界の舞台に入り難いのだ。このような色眼鏡をつけて、すべての他国を「反中国勢力」と見ていて、どのように他国からのメッセージを正確に解読して、どのように世界の各国と協力するというのだろうか。

自分だけが無防備になって、周りに馬鹿されるのではないか、と思う人がいる。確かに、警戒心を放棄する第一人になるには勇気が要る。「かかとを上げる」例を見てみよう。舞台を見る時、みんなでかかとを上げるととても疲れるが、一緒にかかとを下ろすと、一緒に楽になって観劇できる。しかし、私だけが下ろして他の人は下ろさなかったら、私だけは舞台を見えなくなってどうしよう、とみんなが思っている。

党文化の中から解答を探すと、解答はきっと見つからない。「誰に対しても警戒心を持つ」状態は党文化がもたらしたからである。中国共産党を解体させてこそ、警戒心を生む外部環境をはじめて打破できる。国民は共産党の統治と迫害から免れて、はじめて信仰の自由を持てるようになり、はじめて「仁義礼智信」などの伝統を回復できる。そうすると、きっと自らまずかかとを下ろす人が現れる。彼らの誠実でかつ信用を守り、善意的な行為は、社会全体の道徳水準を引き上げることができ、それによって社会はきっと正常な状態に変われるのだ。

(続く)