<赤龍解体記>(70)中宣部の「箝口令」VS温家宝の「広納言」

中共常務委員・李長春氏率いる中宣部が「箝口令」を敷き、温家宝首相の「広納言」に対抗させた。指導部における分裂が表面化している(合成写真・大紀元)

【大紀元日本6月17日】中国共産党18大を控えるなか、中国国内では安全部スパイ事件や李旺陽殺害などの重大事件が相次いで起きている。風雲急の時期に起きたこれらの大事件は、中国の未来に重大な影響を与えるものとして、中国の国民をはじめ、マスコミや国際社会から注目されている。

李長春氏の率いる中宣部が15日、全国メディアに「箝口令」を敷いた。温家宝首相の同日の「広納言」(国民の意見や各方面の献言などを広く納まること)に対抗する政策と見られている。これはまた、中共の指導部における分裂が明らかになったことを意味する。

温家宝首相は同日、新参の国務院参事と中央文史研究館館員との座談会において、嘘をつかず、事実を話すようとあらためて呼び掛け、その重要性を強調した。

「真実を話すことと聞くことは、民主的で科学的に政策を執り行うための基本であり、最重要の前提条件だ。指導者として、見解の異なる意見を聞き取り、それらを包容する涵養を有すべく、それを『騒音や雑音』などと見なしてはならない。とりわけ批評的な意見から知恵を吸収すべきだ。なぜなら、それこそがわれわれの頭脳を冷静化させ、見逃しやすい問題をより重視させ、政策の錯誤を防げるのに利くからである」

温家宝首相はさらに、民情を知り、民衆の知恵を集めるインターネットの積極的な役割を生かすよう述べ、今のように一般の国民がこれほど敏速で素早く自分たちの主張を表すことができるのは、歴史上未曽有のことだ、とも強調した。

一方、中共宣伝部は、15日から中共10年来の偉大な業績を宣伝することをメインの報道方針とする同時に、最近の中印間のトラブルや殺害される疑惑がある「李旺陽自殺事件」や7カ月の胎児が中絶された事件などを報道しないようと要求する。要するにマイナス的な国際・国内のあらゆる事件を報道してはならず、各メディアが所在地域(他の省・市で)の管轄領域を超えて取材してはならないなど、厳しい箝口令を敷いた。

この箝口令に違反すれば、記者証を取り締まり、該当メディアの社長を免職するなどの厳罰も告知された。

中共の新たな箝口令に対し、民間人は次のように見ている。専門家の同道堂氏は「30年前、情報が厳しく封鎖されたため、四人組をスケープゴートとして逮捕することで中共はかろうじて誤魔化していたが、現代のインターネット時代では、中共の罪悪はすでに広く知られているので、今回はどのようにしても誤魔化すことはできない。崩壊は中共の避けられない唯一の結果だ」との見解を述べている。

同じ日に中共指導部から正反対の2つの声が上がったことは、中共の内部分裂が表面化してきたばかりではなく、崩壊が近づいてきたようにも感じさせられる。

 (翻訳編集・呈工)
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