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春の養生と温病の予防に関する漢方医学の教え

漢方医学の古典『黄帝内経・四気調神大論』には、季節に合わせた養生法が記されています。春は芽生えの季節であり、万物が栄え始め、生命の活動が活発になる時期です。春には冬の間に体内に溜まった老廃物を排出する時期でもあり、早めに起きて散歩や身体を伸ばす運動をすることが推奨されています。

特に、春夏には陽気を養うことが大切とされ、温性の春野菜、例えばショウガ、ネギ、ニンニクの苗、ニラ、ヨモギ、からし菜などを適量に摂取することが勧められます。

また、唐代の名医・孫思邈(そん しばく)は、春には酸味の食物を控え、甘味の食物を増して脾の気を養うべきだと記しています。酸味は陽気の活動を抑制するため、春には甘味が脾の気を補い、陽気の活動を助けるとされています。

春の食事はあっさりとしたものを選び、生のものや冷たいものは控え、消化を助けることが大切です。

一方、春には発熱を主症状とした急性疾患「温病」が発生しやすく、これを「春温」や「風温」と呼びます。春温は高熱、咽喉痛、口渇、咳などの症状を伴い、進行すると重篤な状態に至ることもあります。温病は現代医学の感染症に似た特徴を持ち、強い感染性や流行性を有しており、致死率が高いものもあります。

このため、春温の予防には「精(せい)」をしっかり蓄えることが重要です。精は腎に蓄えられ、生命活動を支えるための重要な物質であり、免疫機能や防御機能を強化します。秋に栄養をしっかり摂り、冬に精を消耗せずに守ることが、春の温病予防につながるとされています。

さらに、春には外部からの邪気の侵入を防ぐために、「衛気」の働きを補うことも大切です。少し早めに起きて散歩をし、身体を伸ばす運動をすることで、体内の陽気を活性化させ、温病の予防に繋がります。春野菜を適量に摂取し、食事はあっさりとしたものを選ぶことも、予防効果を高めるでしょう。

このように、春は陽気が活発になる季節であり、適切な養生と食事の選び方によって、春温を予防し、健康を守ることができます。
 

(翻訳編集 柴めぐみ)