【大紀元日本1月15日】中国ハイブリッド(雑種)米の父として知られ、著名な農業学者・袁隆平氏はこのほど、ネット上で「中国最大の災難はすでに免れない」と題する文章を発表した。文章は、中国の食卓には危機が迫り、その危機はすでに避けられないと主張した。以下は文章の抄訳である。
食糧不足は社会混乱の原因
中国にはたくさんの危機が存在している。例えば政治危機、経済危機、信仰危機、領土危機、社会危機など。しかし軍隊が安定して人々に食べるものさえあればいかなる危機も克服でき、また社会秩序を保つ状況下ならば克服する方法が見つかるはずである。しかし、食糧の危機は例外である。
もし、人々は食べるものが無くなったら、あるいは食糧不足が生じたら、必ず混乱に陥る。そうなれば、政府を含め、政治、道徳、経済、良心などのすべては、食糧危機の前で姿を消し、語る価値はなくなる。
中国は世界で人口が最も多い国であり、13億人もいる。世界中で中国に十分な食糧を供給できる国はない。中国の食糧問題は中国で解決するしかない。食糧の供給が十分でなければ大きな混乱を引き起こすのは必至だ。
食品の安全に多くの憂慮
中国の市場には多くの食材が流通しているが、それらは自然に育ったものではなく、成長ホルモンの力で育ったものだ。
豚の飼育は、自然の飼育方法では1年かかるが、市場で販売されている豚肉は、ほとんど3カ月で成長した豚の肉である。
鶏も同じで、一般の飼育方法なら半年かかるが、今市場で売られている鶏肉はほとんど28日間で成長した鶏の肉だ。
野菜も同じく成長ホルモンの力に頼っている。
このような食品が健康に有害であるのは明白だ。多くの子供に性早熟の特徴が現れたと報じられている。3歳の女の子は生理が始まり、乳腺も膨らんだとの報道もあった。この子は、母親が成長ホルモン剤で育てたイチゴをよく食べていたからだという。
ところが、このような状況を変える可能性はないのだ。変えたらすぐ供給量が足りなくなり、社会不安が起こり、すぐ餓死者が大量に出てくるからだ。規制や取り締まりは体面を繕っているに過ぎず、本腰を入れて実施することはできない。
種子も潜在の食糧危機要素
農民はかつて、自ら穀物の種子を採っていたが、現在では市場から仕入れるようになった。
ただ、種子会社から購入した種子は、一度しか使えないもので、取れた穀物を残しても、種子として使えず、植えても草になるだけ。万一種子会社に問題があったらどうなるのか、非常に恐ろしい問題だ。
そうなれば、農地があっても食糧が作れない。しかも、中国の種子会社の半分は外資である。
食糧生産の危機
正直に穀物を作る農民は儲からないばかりか、生存さえも困難になる。今、あちこちに荒れた農地を見かける。働き盛りの若い農民は皆都市部に出稼ぎに行ったからだ。
以前、1キロの穀物の国家買取価格で10キロの野菜が買えていたが、今1キロの穀物の値段は1キロの野菜よりも低い。2013年、穀物の国家買取価格は1キロにつき2.4~2.8元(1元は約17円)だった。しかし市販の野菜は1キロ2元から数元の値が付いている。農民たちにまだ穀物を育てる意欲があるだろうか。
農薬、化学肥料、種子などの農業生産に必要なものの値段は年々上がっているが、食糧の価格は全く上がっていない。なぜだろうか。もし米の国家買取価格が1キロにつき10元に値上がりすれば、市場の販売価格は最低でも1キロ14元になる。そうなれば、都市部の人たちは耐えられない。暴動になる可能性さえある。現実に中国の農民は社会の最も貧しい弱者層になっている。
生態環境の危機
今まで農地によく見られた多くの小動物は現在ほとんど絶滅、あるいは絶滅に瀕している。以前、巻き貝やタウナギ、雑魚、エビなど田んぼでよく見かけた生物は、今はほとんど姿を消している。池やダムの水は黄色く濁っており、水草も生えなくなった。以前雨が降れば、湿地に生えていたコケも消えてしまった。
激変した生態環境で作った食糧に問題がないはずはない。もはや大きな問題になっており、逆転し難い問題になっている。絶滅した小さな生物は私達と同じ環境で生きていたのではないのか。それらに問題があって、私達だけは無事だということは決してない。
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