米国 いかに各国政府が世界的な食料危機を作り出しているのか

環境保護政策の背後に隠された“計画”暴く ドキュメンタリー『農家なくして食料なし 虫なら食べますか?』

2023/11/14 更新: 2023/11/15

各国政府がいわゆる「環境保護政策」を推し進め、農家を廃業に追い込むなか、世界的な食料危機が静かに迫ってきている──。

ドキュメンタリー『農家なくして食料なし 虫なら食べますか?』は、そんな世界の食料供給を混乱させる数十年来の計画を暴露した、エポックタイムズのオリジナル映像作品だ。

エポックタイムズの動画番組「Facts Matter」で司会を務めるローマン・バルマコフが、米国やオランダ、スリランカを巡り、農家や科学者、専門家など計50人以上を取材した。

気候変動対策の旗印の下、各国の農家は土地と生計を取り上げられている。「これは、世界中のメディアが取り上げない、来るべき世界的な危機だ」とバルマコフは呼びかける。

本作は米国で9月25日に公開された。(日本語版は今月8日からエポックタイムズの動画配信プラットフォーム「Epoch TV」で配信中)

作品概要

「気候危機」とは一体何か。

バルマコフは、冷戦終結直後の1992年6月に開催された「国連環境開発会議」(通称「地球サミット」)にて、いかにして世界の指導者らが「気候危機」を構想したかに着目し、その歴史を明らかにした。

本作のプレミア上映会が開催された9月23日、バルマコフは会場のテキサス州アービングにて取材に応じ、「すべての道は国連に通じている」と語った。

本作は、国連の基本計画である「アジェンダ30」(以前は「アジェンダ21」として知られていた)について掘り下げた。国連が打ち出した地球規模の政策が、いかに民間の中小規模農業を潰し、世界の食料供給をコントロールする「ワンワールド政府」への依存を生み出そうとしているかを浮き彫りにした。

世界中で食料価格の上昇が続くなか、指導者らはそれを気候変動のせいにしている。

「その解決策は驚きだ。国連によれば、虫が未来の食料になるというのだ」と本作は切り込む。

「地球上で最も有力な組織の上層部は、農業、特に畜産が地球温暖化の原因であり、地球温暖化のせいで食料価格が高騰し食料不足が起きていると断定した」と解説している。

そして、各国政府がいかに気候変動問題を利用し、農地を支配しようとしているかについて、バルマコフが作中を通して調査を進めていく。

「政府は農民を助けようとすると思うでしょう。ところが私は非常に驚いた。すでにこんなことになっているなんて」

作中ではカリフォルニア州の牧場主らが取材に応じている。昨年、同州では「ギンザケが絶滅の危機に瀕している」と主張する水道委員会が、ギンザケの保護を理由に緊急干ばつ規制を導入した。牧場主たちはその経緯を説明した。

こうした規制によって、土地所有者は自分たちの地下水を利用できなくなると、カリフォルニア州スコッツバレーの牧場主テオドラ・ジョンソンは明かす。「水がなければ牧場経営は持続不可能だ」と苦境を訴えた。

また、スコッツバレーを流れるクラマス川にはギンザケは生息していないと語る専門家もいた。

オランダの「窒素危機」

バルマコフは、気候変動対策の名のもとに、酪農家に家畜を50〜90%減らすよう強いるオランダにも足を運んだ。

2019年、オランダ政府は「窒素危機」を宣言し、2030年までに窒素排出量を50%削減するために、大胆な規制の実施を開始した。

豊かな畜産の歴史を有し、小国でありながら欧州最大の食肉輸出国だったオランダでは今、これまで何世紀も続いてきた家族経営の農場が次々と廃業に追い込まれている。

数名の農家や専門家が取材に応じたが、窒素危機は政府が土地を管理するために作り出されたとの認識で一致していた。

4世代にわたって農場を営んできたマーティン・フォルキンク氏によると、農場運営を禁止された土地は価値がなくなるため、家族を養えず土地を維持する余裕がなくなった多くの農家は、政府に土地を売却しているという。

一方、オランダでコオロギとミルワームを扱う農家にも取材を行なった。未来の食料危機に対する解決策として、昆虫食が市場に押し出されているという。

スリランカの飢餓

農家の作物生産を助ける化学肥料が政府の規制によって禁止されると、どんなことが起こるのか。本作が映し出すスリランカの実態が、そのことを教えてくれる。

2021年、スリランカ政府は化学肥料と農薬を禁止し、国内の農業をすべて有機農業に切り替えようとした。

この措置は、約2200万人の人口を抱える島国の主食である米の生産に大打撃を与え、同国を経済危機と食料不足に陥れた。

昨年、政府は一夜にして化学肥料の使用禁止を解除した。スリランカは元の姿に戻りつつある。

本作に対する反応

聞こえの良い政策がいかに食料供給に悪影響を与えるか、本作はその点にスポットライトを当てている。

財産権の擁護活動を行うNPO団体「アメリカン・スチュワーズ・オブ・リバティ」の理事を務めるマーガレット・バイフィールド氏は、「Stop 30×30 Summit」での上映後にエポックタイムに対し、「最も懸念されるのは、小規模農家を追い出すような規制を敷いていることだ」と語った。彼女は本作に出演している。

また、別の観客は、本作が世界規模で進む「環境保護政策」の裏に隠された欺瞞に警鐘を鳴らしていると評した。

「ローマン・バルマコフは、驚くべき仕事を成し遂げた。厳しい現実に向き合い、これまで語られることのなかった重要な物語を明らかにした」と語ったのは、建築用地や農地などを扱う不動産会社テネシー・リアル・プロパティーズLLCのオーナー、ステファイン・クロス氏だ。

「気が重くなるような、恐ろしい映画だった。私たちの目を欺き、周到に隠蔽されてきた側面に光を当て、明らかにすると同時に、不安にさせられる、そんな内容だった」

受賞歴のある調査ジャーナリスト。主にテキサス州の政治、エネルギー問題、犯罪関連のニュースを担当。ロイター、ダラス・モーニング・ニュース、ブレイズ・メディアなど、多くのメディアで長年にわたる経歴を持つ。サザンメソジスト大学でジャーナリズムの学位を取得
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