失われた自由、転じた役割 香港は中国共産党の世界侵略の道具となったのか?

2024/07/24 更新: 2024/07/24

国家安全法の施行に伴い、香港は金融センターから制裁回避の拠点へとその姿を変えつつある。香港自由委員会基金の最新報告によれば、香港はロシア、イラン、北朝鮮が西側の制裁を回避するためのハブとして機能しているという。アメリカのシンクタンク「ジェームズタウン財団」研究員の張昆陽氏は、政治的自由を失った香港が中共の国家利益に奉仕する方向に転じていると指摘する。

報告書は、ワシントンの研究機関「高等防衛研究センター」が収集した公開資料とその他のオープンソースデータを分析し、香港からロシアへの輸出額がウクライナ侵攻後にほぼ倍増したことを明らかにした。

昨年8月から12月の間に、香港は約20億ドル相当の商品をロシアに輸出し、そのうち約40%がコンピューターチップとマイクロコントローラーであり、ミサイルや戦闘機の生産に寄与している可能性が高いという。

報告は、香港のPiraclinos Limitedという会社を名指しで批判している。この会社は表向きは肥料と石炭を販売しているが、実際には制裁対象のロシア企業VMKに数百万ドル相当の集積回路を販売しているとされる。Piraclinosの取締役と株主は毎年変わっており、ロシア関連の取引を隠すための「ダミー会社」である疑いが強い。

昨年8月から12月の間に、香港は約20億ドル相当の商品をロシアに輸出し、そのうち約40%がコンピューターチップとマイクロコントローラーであり、ミサイルや戦闘機の生産に寄与している可能性が高いという。写真は香港の高層ビル群(Photo by Anthony Kwan/Getty Images)

別の香港企業Arttronixも、イラン軍に電子部品を供給しているとして報告に名指しされた。この会社はアメリカの制裁を受けた数日後に解散したが、その一年後に責任者が設立した新会社ETS Internationalが現在も活動を続けている。

さらに報告は、香港企業が長期にわたり北朝鮮の違法な航運活動を支援し、船舶の偽装や再登録を行って制裁を逃れていることを指摘している。

国際社会の反応

報告書の著者サミュエル・ビケットは、「香港政府と中国政府はアメリカの要請に応じてロシアに制裁を課す必要はないが、不作為が香港の金融センターとしての評判を損なう」と警告している。

また、「北朝鮮に対しては国連の制裁があり、香港政府は少なくとも現行法を適用して北朝鮮関連の違法活動を取り締まる国際的義務を負っている」と述べた。

アメリカのシンクタンク「ジェームズタウン財団」研究員の張昆陽氏は、中共が香港を使って国際的な制裁を回避する事例がすでに存在すると指摘している。政治的自由を失った香港は、サービス対象が700万人の香港市民から中共の国家利益にシフトしているという。

2019年11月18日、香港理工大学に向かってデモ行進をしようとする中、催涙ガスを発射する警察に反応するデモ参加者たち。 (Photo by DALE DE LA REY / AFP) (Photo by DALE DE LA REY/AFP via Getty Images)

香港の未来

英シンクタンクZ/Yenグループの最新のグローバル金融センター指数報告では、香港はシンガポールに取って代わられ、ニューヨークとロンドンに次ぐ第3の国際金融センターの座を失った。2023年末、香港政府が「国際金融センターとしての地位は健在だ」と反論した直後に、香港はインドのムンバイ市場に追い越され、世界の株式市場総時価総額ランキングで後退した。

「一国二制度」は名ばかりの存在となり、中共による香港の統制が強まり、言論の自由や情報流通の自由が縮小し、司法の独立性も脅かされている。このような政治的抑圧が、多くの香港市民を国外へと追いやり、専門人材の大幅な流出を引き起こしている。写真:香港機動隊がデモの男性を拘束。 (Photo by DALE DE LA REY / AFP) (Photo by DALE DE LA REY/AFP via Getty Images)

「一国二制度」は名ばかりの存在となり、中共による香港の統制が強まり、言論の自由や情報流通の自由が縮小し、司法の独立性も脅かされている。このような政治的抑圧が、多くの香港市民を国外へと追いやり、専門人材の大幅な流出を引き起こしている。

中国本土の一都市へと変貌しつつある香港は、果たしてかつての輝きを取り戻すことができるのか。その行方は注視され続けるだろう。

徐天睿
エポックタイムズ記者。日米中関係 、アジア情勢、中国政治に詳しい。大学では国際教養を専攻。中国古典文化と旅行が好き。世界の真実の姿を伝えます!
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