管理ミス相次ぐ韓国地方選挙に中共の選挙介入を警戒する市民

2026/06/10 更新: 2026/06/10

6月3日に実施された韓国第9回全国地方選挙および国会議員再補欠選挙(「6・3選挙」)で、複数の投票所での投票用紙不足や一部地域における事前投票得票数の一致など選挙管理上の不備が次々と発覚し、当局の選挙管理体制への市民の不信が高まっている。中国共産党(中共)による選挙介入の疑惑が取り沙汰されるなか、取材に訪れた台湾メディアは誤解を避けるため自身が中国メディアではないと明示した上で現場取材に臨んだ。

投票用紙不足・得票数一致 疑念が拡大

中央選挙管理委員会は8日、6・3選挙の正式投票日に全国1万4288か所の投票所のうち91か所で投票用紙が不足していたと発表した。5日に公表していた50か所から41か所増加した。

選管委が同日国会に提出した資料によると、選挙当日の全国での不足票数は4726枚。この数字は50か所を基準に集計したもので、91か所を基準に再集計すればさらに増加する見通しだ。

また、仁川・光州・全羅南道の事前投票開票結果で、異なる地域の主要候補の得票数が一致するケースが相次いで確認されたことも波紋を広げた。9日午前までに確認された事例は仁川2か所、光州・全羅南道10か所の計12地区に上る。

疑念の広がりを受け、選管委は不正開票や電算操作の可能性を否定し、「偶然の一致」と説明した。しかし政界や一部の有権者はより具体的な説明を求めており、議論は収まっていない。

こうした状況を背景に、投票用紙不足問題が最初に表面化した首爾・松坡区の開票所付近には連日多くの市民が集まり、真相解明を訴えた。やり直し選挙を求める声も上がっている。

「私たちが求めているのは基本的な参政権だ」

大紀元は8日、集会現場で精力的に活動する韓国「自由と革新党」の尹兌埈(ユン・テジュン)報道官に取材した。自由と革新党は、韓国の元国務総理・大統領権限代行の黄教安氏が創設した新党で、近年の韓国選挙における管理上の不備と不正疑惑の徹底調査を訴えている。

尹報道官は、市民が蚕室(チャムシル)に集まったのは政治的な思惑からではないと述べた。「『私の基本的な権利を返せ』という声で集まってきた人たちだ。だから簡単には収まらない。以前なら何らかの目的があって、少なくとも何かしらの意味があった。今は何と言えばいいか、言葉では言い表せない民心がある。誰かが操作しているのではなく、本当に民心しか見えない」と語った。

尹報道官は選挙のやり直しそのものより、選挙管理の問題の解明を優先すべきだとの立場を示し「選挙管理はここまで崩壊した実態が明らかになった。すべての事例を一つひとつ説明することはできないが、もはや不正選挙と言えるレベルに達していると思う。この問題を解決せずにやり直し選挙だけしても何の意味があるのか。同じことが繰り返されるだけだ」と述べた。

電子投票導入については反対の立場を取った。

「この問題を電子投票や改憲の話にすり替えようとする動きがある。紙の投票でさえ不正が起きているのに、電子投票ではさらに容易になるではないか。最もシンプルな方法は、当日投票で投票箱を移動させず、すぐに手作業で開票することだ」と語った。

また「この問題が解決しなければ、どんな価値も意味がない。どれだけ良い言葉を語り、優れた価値を掲げ、優秀な人材を擁しても、選挙結果が変えられてしまえば何の意味もない」として、引き続き現場にとどまる意志を示した。

台湾メディア 中国メディアではないと明示して取材

集会現場では、取材に訪れた台湾メディアが誤解を避けるため特異な対応を取った場面が注目を集めた。

複数の韓国メディアの報道によると、8日、首爾・松坡区のオリンピック公園ハンドボール競技場前で、カメラを担いだ男性の背中と、マイクを手にした女性の手元に、韓国語で「中国× 台湾テレビ局」と書かれた紙が貼られていた。中国語で生中継を行っていた台湾メディアの取材クルーだ。

一部の市民が中国大陸のメディアと誤解して身元確認に迫り、現場は一時緊張した雰囲気になった。誤解を解消し安全に取材を続けるため、台湾取材チームはこうした対応を取ったという。

同チームはその後、SNSで「台湾メディアと説明したところ誤解が解け、衝突はなかった」と報告し、取材に協力した韓国市民への感謝を示した。

中共介入疑惑が浮上 市民が警戒

韓国の政治集会の現場でなぜ中国大陸からの影響を警戒する空気が生まれているのか。近年、中共当局が韓国の選挙に介入しているとの憶測が韓国社会で繰り返し浮上していることが背景にある。

2024年の国会選挙およびその後の政治混乱のなかで、中国人が選挙管理に関与している、中共のハッカーが選管委の電算ネットワークに侵入した、中共の影響力を通じた不正操作で選挙結果が左右されたなどの主張が、一部の政治家やYouTuber、市民団体から相次いで出た。

ただし現時点において、韓国政府・検察・警察・国家情報院・中央選管委が公式に認定した事例として、中共当局が韓国の選挙結果を操作したり、中国政府が韓国選挙に直接介入したりした証拠は確認されていない。中央選管委も「中国人開票スタッフ」や「中共介入」といった主張を事実無根として繰り返し否定している。

一方で、西側の情報機関は近年、中国共産党がSNSを通じた世論操作、AI(人工知能)を用いたフェイク情報の拡散、親中世論の形成、海外華人社会を通じた影響力工作など、各国の選挙・世論環境への介入を試みていると継続的に警告している。

こうした背景から、最近の韓国の政治集会では中国語で書かれたプラカードが登場する場面も見られた。大紀元記者が6日に集会現場で確認したところ、市民が白紙にマーカーで「選挙やり直し」と手書きしたプラカードがあり、なかには今回の選挙管理の混乱の背後に中共があると考え、意図的に漢字で書いた参加者もいた。

尹報道官「反対しているのは中共であり、中国人ではない」

韓国社会に広がる中国大陸からの影響への警戒感について、尹報道官はいわゆる反中感情は、正確には中国共産党に対する反共感情だと述べ「私たちは中国人を嫌っているのではなく、中国共産党を嫌っている。中国人のなかにも法輪功学習者やウイグル族などの少数民族がいる。彼らは中国にいても、明らかに保護されるべき、人権が保障されるべき人々だ」と語った。

尹報道官は集会の場で「CCP OUT」のスローガンを唱えたことがあると述べ、「China Out」という表現は矛先が中共から中国人へと向きを変えてしまいかねないとして、政治的な怒りが一般の中国人への敵意に転化しないよう注意が必要だと語った。

また、中共の韓国選挙介入については実証的な根拠がまだないとも認め、「実際の証拠を見つけたいと思っているが、今のところ物的証拠はない。証明できるものがあれば明確に示すべきだし、そうでなければないと言うべきだ。本当なら直ちに対処すべきだし、違うなら誤解を終わらせるべきだ」と述べた。

選挙をめぐる疑念が長期にわたって解消されなければ、本来は中共に向けられるべき怒りが一般の中国人へと誤って向けられかねないと警告した上で、選挙管理の問題を解明することが誤解を減らし、社会の感情を正常な軌道に戻す唯一の道だと語った。

鄭香梅
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