なぜ米国は北朝鮮とイランを区別して扱うのか 専門家が分析 

2026/04/05 更新: 2026/04/05

同じ敵対国でありながら、米大統領はイランと北朝鮮に対して異なる態度を取っている。イランに対して、トランプ氏は大統領就任後に核施設を爆撃してから1年を経て、再び開戦に踏み切った。一方で北朝鮮に対しては、かつて3度の首脳会談を行った金正恩(キム・ジョンウン)との再会談に意欲を示し、外交的な手段で核の脅威を取り除こうとしている。この「差別化」された対応について、米陸軍の元少将は大紀元の取材に対し、「核兵器が力の均衡を変えたのだ」と語った。

米国はなぜ北朝鮮とイランを区別するのか

米軍が130隻の艦艇を含む8千以上のイラン軍事目標を打撃し、バンカーバスター(地中貫通爆弾)を用いてナタンズ核施設を攻撃する一方で、トランプは北朝鮮の指導者に対しては友好的な姿勢を見せている。

3月13日、韓国の金珉錫(キム・ミンソク)首相と会談した際、トランプ氏は今月末の訪中時、あるいはその後に金正恩と会談することに関心を示した。

トランプ氏は金正恩と「良好な関係」を維持していると語り、会談中に助手を呼んで、2019年6月に板門店で撮影された金氏とのツーショット写真を取り出させた。トランプ氏は第1期政権時に金と3度会談している。

金正恩への対応とは対照的に、トランプ氏は2026年1月、「絶対的決意作戦(Operation Absolute Resolve)」と名付けられた電撃作戦により、ベネズエラのニコラス・マドゥロ氏を拘束し、12年に及ぶ独裁体制を終結させた。その1ヶ月後には、イスラエルと共同で「エピック・フューリー作戦(Operation Epic Fury)」を発動。イラン国内の複数の地点や都市を急襲し、最高指導者ハメネイ師を含む数十名の高官を死亡させた。

米陸軍の元少将であり、元陸軍副法務総監および上級倫理官を務めたジョン・アルテンバーグ(John Altenburg)氏は、イランとベネズエラには核ミサイルの発射能力がないと指摘する。「したがって、トランプ大統領による行動は、彼らが核能力を保有するのを阻止するための先制的なものなのだ」という。

一方でアルテンバーグ氏は、北朝鮮や中国に対しては、イランやベネズエラのような軍事行動は起こさないだろうと見ている。

「なぜならリスクがはるかに大きいからだ。両国は核能力を保有している。事態はより深刻だ。ロシアに対して同様の行動を取らないのも同じ理由だ。核保有国の存在は力の均衡を変化させ、米国が行動を起こす際に負うべきリスクを増大させる。だからこそ、彼は(軍事行動を)行わないだろう」

さらに重要なのは、北朝鮮が高度な核能力を開発済みである点だ。2026年時点で、北朝鮮は40発から90発の核弾頭を保有していると推定されている。米国の攻撃は、韓国、日本、あるいは米国本土に対する北朝鮮の核反撃を誘発する恐れがある。

米国がイランの核開発を阻止するための「エピック・フューリー作戦」を開始して2ヶ月目に入った3月29日、北朝鮮の国営メディアは、金正恩が米国本土を射程に収めるミサイル用の改良型固体燃料エンジンの試験を視察したと報じた。北朝鮮はこれを「戦略軍事力の重大な進展」と称している。固体燃料ミサイルは液体燃料に比べ、移動や隠密発射が容易である。

同時に、中国も米国本土を打撃できる兵器の開発を進めている。米海軍によれば、中国は原子力潜水艦の増産を大幅に加速させており、新型潜水艦は間もなく中国近海から米国本土の広範囲を射程に収める見通しだ。また、国防総省の報告書は、2025年末までに東風27(DF-27)ミサイルの配備や100発を超える新型ICBMの配備により、中国の米国本土打撃能力がさらに強化されると指摘している。

アルテンバーグ氏は現在、国際法律事務所グリーンバーグ・トローリッグのワシントンD.C.事務所のパートナーを務めている。2002年11月の入所以前は、世界銀行総裁の倫理およびビジネス行動アドバイザーを務めていた。

核保有国に対しては外交・経済手段を優先

アルテンバーグ氏は、すでに核を保有している国家に対しては、米国は軍事的手段を避け、外交や経済制裁を用いるべきだと考えている。

「これら2か国(北朝鮮と中国)に対して、米国は毅然とした立場を維持すべきだが、軍事手段に訴えるのではなく、外交や経済手段を含む他の措置を模索し、緊張を緩和する方法を見出すべきだ。まずは外交努力を行い、双方の外務当局間で意思疎通を図るべきだろう。あるいは制裁や関税といった経済的措置を講じ、核開発を縮小させるよう働きかけるべきだ」

しかし、過去20年以上にわたる制裁や外交努力は、北朝鮮の核開発を止めるには至っていない。歴代の金一族の指導の下、北朝鮮は一貫して核兵器を自らの生存を保障する唯一の手段と見なしてきた。

2006年以来、国連安保理は10近い決議を採択し、北朝鮮の核開発に関連する活動に制裁を課してきた。米国なども単独制裁を実施しており、武器取引の禁止、関係者の資産凍結、科学協力の制限などを行っている。

1990年代以降、朝鮮半島の非核化をめぐる二国間・多国間の交渉はことごとく失敗に終わった。2018年6月、トランプ氏は第1期政権時にシンガポールで金正恩と会談した。これは米朝の現職指導者による初の首脳会談であった。会談後、米国は韓国との大規模合同軍事演習を一時停止したが、共同声明が実質的な非核化や制裁解除につながることはなかった。

2019年2月の第2回首脳会談は、双方の要求が折り合わず物別れに終わった。それ以降、交渉は停滞している。金正恩氏はミサイル発射実験を強化し、2022年の発射数は過去最多を記録した。

米国の反応は迅速かつ壊滅的 「彼らは怯えている」

アメリカ平和研究所のフランク・オム氏とカーネギー国際平和財団のアンキット・パンダ氏は、米朝が「危険な共存状態」に陥っていると指摘する。北朝鮮の潜在的脅威は最高レベルに達しており、衝突のリスクは日増しに高まっている。近年、北朝鮮は固体燃料ミサイルを含む多様なICBMを試射し、米国本土をカバーする射程を誇示している。

アルテンバーグ氏は、もし北朝鮮が実際に米国へミサイルを発射すれば、「米国の反応は迅速かつ壊滅的なものになるだろう」と述べた。

米国の核抑止力は第二次世界大戦中に誕生し、今なお米国の安全保障の礎である。1942年から始まったマンハッタン計画は、シカゴ大学、テネシー州オークリッジ、ニューメキシコ州ロスアラモスなどの研究所で展開された。科学者や軍人が協力し、大戦を終結させた原子爆弾を作り上げたのである。

冷戦の勃発により核兵器の規模は拡大し、より強力な新世代の兵器が次々と登場し、多様なプラットフォームに配備された。米国は数万発の核兵器を配備し、共産主義の侵略を抑止した。冷戦終結時、米国は核爆撃機、弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)、大陸間弾道ミサイル(ICBM)からなる「戦略核の三本柱(トライアド)」を維持し、世界のあらゆる目標に核を届ける能力を保持した。

現在、米国の戦略的抑止力は大規模な近代化の過程にある。新型ミサイル、新型爆撃機、新型潜水艦、そして新型核弾頭の建造が始まっている。

アルテンバーグ氏は次のように締めくくった。「北朝鮮や中国による核攻撃を阻止しているのは、米国が核で反撃するという抑止力そのものだ。1948年以来、ロシアは核を保有しながら一度も核攻撃を行っていない。それは米国の反撃の脅威があまりに強大で、攻撃を仕掛ける勇気がないからだ。彼らは、米国の力に圧倒され、怯えているのだ」

孫芸
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