女性にとって睡眠は、どの養生・スキンケアよりも大事なことです。不眠症の女性が診察室に入ると、何も聞かなくても睡眠障害の問題を抱えていることが分かります。程度は違いますが、みな憔悴した顔付きで、目に光がなく、気血が足りないのです。
夜の睡眠は女性の体が「陰血」を補い、養生するもっとも大事なタイミングです。中医は「静は陰を養す」と唱え、女性は寝ることを通じて静の状態を保ちます。睡眠の質がよくなってこそ、気血が足り、顔もいきいきしてくるので、「寝美人」という説もとても理にかなっていると思います。
西洋医学でも、女性にとって睡眠はとても重要であると認識しています。ホルモンの女性への影響はとても大きく、一生においてホルモンレベルの波が多いのです。例えば、生理の時・妊娠時・授乳期間・閉経した後などです。ホルモンのバランスが乱れると、女性の体には様々な症状が生じ、顔色も悪くなります。睡眠はホルモンのバランスを調整する最もよい方法です。睡眠の質が高く、時間が十分であれば、ホルモンバランスは安定し、規律的になっていきます。もちろん女性の養生・養顔にとっても、大きなメリットです。生理中の失血が多すぎる場合は、睡眠時間を増やせば疲労を解消することもできます。
男性:「昼休みの仮眠」で陰陽を調整
男性は女性ほど睡眠に頼っていませんが、疲労回復には大事な要素です。睡眠は陰陽のバランスを取り、「腎」の養生に欠かせません。仕事の忙しい男性は『黄帝内経』にあるように、昼休みの仮眠を取るといいでしょう。午後1~3時の間で30分から1時間くらい眠ると、「養陽」ができます。また、夜9~11時に寝れば、「養陰」が始まるので、この時間帯に睡眠に入るのが最も効果的です。
「腎」は腎臓のみならず、ホルモン系・泌尿生殖器系、免疫系などに相当し、水分の調整や聴覚、呼吸、頭脳活動、頭髪、ホルモン、生殖、骨や歯のカルシウム代謝、体を温める作用など、様々な生理機能を支配してます。
西洋医学でも、あわただしい社会生活の中で、体力の消耗が激しい男性にとって、睡眠はとても重要であると認識しています。睡眠時間が足りなかったり、または睡眠の質が良くなければ、脳に良くない影響があると言われています。
男性:主に陽気を保つべき
男性は、主に「陽気」を保つことが重要です。男性は大きな社会的圧力を背負い、忙しさと疲れで陽気を失いやすいのです。個人個人の体質に合わせて、適切な陽気を保つ食事を選びましょう。
男性の食事では、「養・腎精」が大きなポイントです。「腎」は陽気の収蔵を治めるので、腎臓は人体の陽気の源であり、生命の活動のための原動力を提供します。腎を補い、精を作る食物を選びましょう。腎によい食べ物は、クコの実、山芋、栗、黒ゴマ、レンコンなどが挙げられます。
男性は筋肉の比重が多いので、良質なたんぱく質を取ることが重要です。筋肉はたんぱく質からのエネルギーを必要としているからです。そして、これは「精を作る」助けとなり、生育の能力を高めます。
女性:血と鉄分を補うことが重要
女性にとって、睡眠の次に重要なのが食事です。質のよい食事をきちんと摂ることは、養生・養顔に大きく役立ちます。血を補うことはよく知られていますが、注意すべき点があります。それは、生理中に補ってはいけないということです。生理の後で補うと、効果が最も良いと言われています。「補血・養陰」の食材は、オウギ、人参、党参、トウキ、白芍(びゃくしゃく)、熟地(じゅくち)、丹参(たんじん)、ツルドクダミ、鶏血藤(けいけつとう)、クコの実、阿膠(アキョウ)、ナツメ、桂円肉(けいえんにく)、烏骨鶏(うこっけい)などがあります。
また、鉄分やビタミンを補うのも重要です。女性は経血によって鉄分を失いやすいからです。良質なたんぱく質、微量元素(特に鉄分)、葉酸(ようさん)とビタミンB12を含んだ栄養食品は、豆製品、レバー、魚、えび、鶏肉、卵、ナツメ、黒砂糖、木耳、桑の実(クワノミ)、落花生(薄皮付きのほうがいい)、黒ゴマ、新鮮な野菜、果物などがあります。
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