【大紀元日本8月18日】これはニューヨーク・ポスト紙が報道した、ニューヨークで実際に起きたことである。その結果は人々をあっと驚かせるものだった。
4年前の2010年8月のある日の午後、ニューヨークのとある広告会社の役員メリー・ハリスさん(45)は友人とレストランで食事をしていたときの出来事だった。
タバコを吸うために友達と一旦レストランを出た2人に、ホームレスらしき男性が近寄ってきた。「私の名前はウァレンティです。32歳で失業して三年目になり、いまは皆さんからのお恵みで生きています。一つお願いがあります。生活用品を買うのに少しお金をいただけませんか」とこの若い黒人男性はハリスさんに期待を持った眼差しで言葉をかけた。同情心がわいたハリスさんは迷いもせず「いいですよ」と快諾したが、ポケットには手持ちの現金がなくクレジットカードしかなかった。どうしたらいいかと戸惑う彼女をみて、男性は小声でこう言った。「もし信用して下さるなら、このクレジットカードを貸していただけますか」。心の優しいハリスさんは深く考えもせず彼にカードを渡した。
カードを手に男性は直ちにその場を離れなかった。「生活用品の他に飲料水ボトル一本を買っても大丈夫ですか」との男性の問いに、「もちろん、他に必要なものがあればカードで買ってください」とハリスさんは即答した。
男性はカードを持ってその場から立ち去った。
友人とレストランに戻ったハリスさんに不安が徐々に襲いかかってきた。「そのカードには10万ドルの預金がある。暗証番号も設定していない。あの人がカードを持ち逃げしたらどうしよう」
悶々としながら食事を済ませてレストランを出た二人は目を疑った。
男性が店の外で待っているではないか。彼はハリスさんに両手を揃えてカードと領収書を返した。「私は洗面用品と飲料水ボトル2本を買い、合計25ドル使いました。どうぞご確認していただけますか」
感動と驚きのあまりに、ハリスさんは思わず男性に幾度も「ありがとう」の言葉を発した。
今度は男性が困惑した表情をみせた。「助けられた私が感謝する立場なのに、なぜお礼を言われるのか」
ハリスさんは友人とすぐにニューヨーク・ポスト紙に駆けつけ、「せび報道してほしい」と経緯を語った。
同紙の報道を受けて、男性の誠実心は大きな反響を呼んだ。テキサス州のある資本家は6千ドルを男性に寄付した。さらに、男性はウィスコンシン州の航空会社と社員契約を結んだ。
男性は「小さいころから母に教えられたことを守ったからこそ、今の結果に至ったのだ」と感慨にひたっていた。
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