九州には石橋が多く架けられています。平成4年時点で日本全国に残存した石橋は1300基以上あり、そのうちの1200基が九州に集中しています。また県別でみれば、大分県に367基、熊本県は330基と突出しています。
理由は、阿蘇山の大噴火で作られた岩石が比較的軽く柔らかいため加工しやすく、石橋の材料に適しているためといわれています。
石橋のほとんどはアーチ型で、石橋をアーチ形に積み上げることで橋自体が支えられる仕組みとなっています。こんな大きな橋を、クレーンやブルドーザーの無い江戸時代に作ったのですから難事業だったでしょうね。
通潤橋は熊本県の山都町(やまとちょう)にあり、1854年に完成した石橋です。
この橋は水不足に悩んでいた白糸大地に灌漑用の水を送るために作られました。といっても、樽に水を入れて橋を使って運ぶ、ということではありません。橋の内部が水路になっており、サイフォンの原理を応用した通水管を通す仕組みです。橋の大きさは長さ75.6m、高さが20.2mもある日本最大級の石造りアーチ水路橋で、国の重要文化財に指定されています。
通潤橋は現在も現役で活躍していますが、通水管に詰った堆積物を取り除くために定期的に放水をする必要があります。最近ではこの放水が観光イベントとしても活用されています。
(文・佐吉)
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