痛みはどこから来るのでしょうか? 一般的に、痛みというのは純粋に感覚的なもので、体が「不快感を味わう」ことだと思われています。しかし、実際は心理的な要素が深く関わっているのです。
痛みは大脳から来るもの
スタンドフォード大学疼痛医学部のべス・ダノール(Beth Darnall)臨床副教授は、痛みの原因や部位に関わらず、痛みの全ては大脳と脊髄がコントロールする中枢神経系統を通じて伝達されると指摘しています。
そして、大脳や全ての神経系統は人間の思想、感性、信念、記憶、環境などの影響を受けます。例えば、「手術後の傷口が痛む」という感覚は、多くの場合、心理的な要素に左右されます。勿論、痛みが本物ではないということではなく、痛みは基本的に一種の心理的現象であるとダノール氏は指摘しています。
国際疼痛研究協会(The International Association for the Study of Pain)は、疼痛を「傷害性のある感覚」または「一種の情緒的体験」であると定義づけています。ダノール氏によれば、疼痛は神経系統と心のストレスが原因であり、呼吸と心拍数を変化させ、筋肉の緊張と血管の収縮を引き起こします。また、不安や疼痛への過度の集中、無力感を引き起こす可能性もあるといいます。
4つの方法で痛みを和らげる
痛み止めを使わずに、痛みを和らげる方法があるのでしょうか?神経系統を静め、大脳と脊髄による痛みの伝達を抑制すれば、それは可能です。ダノール氏は次の4つの方法を提案しました。
1.ストレスへの反応を減らす
ストレスを引き起こす環境を変えることはできなくても、それに反応する心は、自分でコントロールすることができます。過度な心理的反応を減らし、徐々に自己をコントロールしていくといいでしょう。
2.呼吸を調整する
呼吸を「腹式呼吸」に変えます。これによって痛みがすぐに消えることはありませんが、身体がリラックスし、痛みを和らげる効果があります。神経系統を調整することが最優先の目標なので、痛みを感じた時は、数回の複式呼吸を行いましょう。
3.瞑想する
瞑想は、自分の心を穏やかにし、痛みへの注意力を分散することができます。頻繁に座禅して瞑想を行えば、強力な薬より痛みを抑える効き目があります。
4.自分の考えや感情をポジティブに
自分の考えや気分が、痛みに影響を与えます。痛みにフォーカスすればするほど、痛みを強く感じるのです。ダノール氏は、よりポジティブな態度で物事に接することで、痛みを和らげることができると指摘しています。
(翻訳編集・豊山)
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