米大陪審、ロシア人13人・3団体を起訴 大統領選干渉疑惑で

[ワシントン/モスクワ 16日 ロイター] – ロシアの米大統領選干渉疑惑などを捜査するモラー連邦特別検察官は16日、大陪審がロシア国籍の13人と、ロシア関連の3団体を起訴したと発表した。

裁判所文書によると、干渉は2014年に始まり、16年の米大統領選も含まれる。起訴された13人のうち数人は米国人を装い、大統領選中にトランプ陣営の関係者に連絡を取っていたという。

起訴された団体のうち1つは、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクに本拠を置く「インターネット・リサーチ・エージェンシー(RIA)」。

モラー連邦特別検察官が提出した起訴状は全37ページ。インターネット・リサーチ・エージェンシー、および複数のロシア人が14年から16年にかけて、16年の大統領選挙でドナルド・トランプ氏が対立候補のヒラリー・クリントン氏に対し有利になるようさまざまな手段を通して介入したとしている。

起訴状は、架空の人物になりすまし重要なメッセージをネット上で拡散させたり、米国人になりすまして政治集会を開いたりすることで、米国の選挙を混乱させる企みがあったと指摘。インターネット・リサーチ・エージェンシーは「16年の米大統領選挙を含む米国の政治システムに不和の種を蒔くとの戦略的な目標を掲げていた」とした。

また「起訴された人物は複数の候補者の名誉を毀損するような情報を流し、16年初頭から半ばにかけては、トランプ氏を支持する一方でクリントン氏の名誉を傷つける行為も見られた」とした。

米国の情報機関は17年1月、ロシアが16年の大統領選でトランプ陣営に有利になるよう介入した可能性があるとの報告書をまとめているが、今回の起訴状はその内容におおむね沿ったものだった。

ローゼンスタイン司法副長官は記者団に対し、この問題を巡る捜査は終了していないとし、「起訴状は、ロシアの陰謀者たちが米国に不和の種を蒔き、民主主義に対する信頼を揺るがそうとした疑いがあるとしている。こうした人物たちに目標を達成させてはならない」と述べた。

ホワイトハウスのサンダース報道官によると、トランプ大統領は起訴について報告を受けた。

ロシア大統領府は米大陪審による起訴についてまだ詳しい情報を把握していないとしている。

起訴状によると、ロシア側による選挙介入プロジェクトは14年5月には始まっており、「プロジェクト・ラフタ(Project Lakhta)」と呼ばれ、潤沢な資金が投入されていた。

ロシア国籍の人物は米国人の社会保障番号や誕生日などの情報を不正に入手し、ネット決済サービス「ペイパル」のアカウントを取得。偽の人物になりすましソーシャル・メディアでニュースを拡散させたほか、ソーシャル・メディア上で政治的な広告も作成、購入、拡散し、こうした広告には「ヒラリー・クリントンにノーと言う」、「ドナルドはテロを撲滅、ヒラリーは支援」、「より良い未来にはトランプ氏のみが希望」などというものが含まれていたとしている。

インターネット・リサーチ・エージェンシーは13年7月にロシアで企業登録。起訴状は、サンクトペテルブルクの同社の社屋は米大統領選を含む米国のシステムに対する介入活動が行われた「運営上のハブ」となっていたとしている。

同社は架空の人物を創り出す人員やテクニカルエクスパートなど数100人を雇用。16年9月までには予算は120万ドルを超えていたとしている。

*内容を追加します。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

関連記事
12月20日、米国務省の外交団がシリアに到着した。バッシャール・アサド政権崩壊後、ワシントン高官がダマスカスを公式訪問するのは初めてとなる。
10年前、中共は「中国製造2025」計画を掲げハイテク製造業強国を目指した。しかし現在、中共は知的財産権侵害や不公正競争の指摘を受けている。EVや高速鉄道で進展も、核心的な技術は不十分だ。
英国のフィリップソン教育相は、中国による高等教育機関への影響について警戒を呼びかけている。庶民院での議論では、中国が公的機関や企業、大学にまで浸透している実態が指摘された。
12月16日、英豪閣僚級会議がロンドンで開催され、中共のスパイ浸透対策が主要議題となった。英国外相は中共スパイの楊騰波の入国拒否を支持し、豪州外相は複雑な国際情勢を指摘。英国の外国影響力登録制度の施行は延期され、中共の指定級が注目されている。
インド政府は、中国からの安価な鉄鋼輸入を抑えるため、最大25%の関税(セーフガード)の導入を検討している。この […]