アングル:中国の輸入LNG、関税10%上乗せでも米国産が割安 

[シンガポール 19日 ロイター] – 米国産LNG(液化天然ガス)は中国が10%の追加関税を導入しても他の産地のLNGに比べて割安な状態が続くとみられる。しかし中国の買い手は政治リスクを警戒しており、価格が安くても米国産を敬遠しそうだ。

中国は18日、米制裁関税第3弾を受けて、報復とした600億ドル相当の米国製品に制裁関税を課し、米国産LNGに対しては10%の関税を上乗せすると発表した。

クレディ・スイス(オーストラリア)のエネルギー調査部門ヘッド、サウル・カボニク氏は米国産LNGへの上乗せ関税が当初浮上していた25%よりも低い水準にとどまったことについて、冬期の需要増が見込まれるためと分析。「上乗せ関税が小さくなったことで、米国産は冬に向けて中国での需要獲得を巡る競争に参入することが可能となり、中国の買い手は国内市場が引き締まれば非米国産を調達しやすくなる」と述べた。

ロイターや業界関係者が米国産LNGの長期契約価格や輸送コストなどに基づいて試算したところ、中国向けの米国産LNGの出荷は他の主要産地からの積み出しに比べて、引き渡し価格が少なくとも9%低くなっている。

しかし事情に詳しい関係者2人によると、中国海洋石油有限公司(CNOOC)や中国石油化工(シノペック)など中国の大手国有石油会社は米中通商紛争を受けてこのところスポット市場で米国産を避けている。

関係者の1人は「売り手に米国産LNGの供給は受けないと伝えた。(米中間の緊張が緩和するまで)米国産は敬遠し続ける」と述べ、こうした対応は政治的な理由によるものだと説明した。

トムソン・ロイター・アイコンのデータによると、8月に米国産LNGを積んだ中国向けのタンカーは1隻のみで、7月の3隻から減少。9月に入ってからはこれまでのところ皆無となっている。

シンガポールに拠点を置くLNGトレーダーによると、中国の買い手のうち少なくとも1社が売り手に対して、新たな売買契約を結ぶ際に関税上乗せのコストを引き受けるよう求めたが、売り手が同意したかどうかは今のところ不明だという。

シンガポールに拠点を置く別の業界筋からは「米国の売り手は米国産LNGに価格競争力があると分かっており、スポット市場での販売をそれほど心配しないだろう」との声も聞かれる。

しかしクレディ・スイスのカボニク氏によると、既に影響は出ている。「上乗せ関税は小幅だが、中国人の買い手からすれば米国産LNGの供給の信頼性に長期的な打撃となりそうだ」という。

カボニク氏は「中国の買い手にとって米国産LNGを調達するリスクは引き続き高く、長期的にはLNGの調達で軸足を米国からカタール、オーストラリアなどに移すだろう」と述べた。

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