ベネズエラ政権が「暫定大統領」締め付け、検察が捜査へ

[カラカス 29日 ロイター] – ベネズエラの最高裁は29日、暫定大統領就任を宣言したグアイド国会議長の出国禁止と銀行口座凍結を命じた。「重大な結果」を招くと警告した米政府のけん制を一蹴し、同氏に対する締め付け強化に乗り出した。

最高裁は検察当局による捜査も認めた。28日に米国が国営石油会社PDVSA[PDVSA.UL]を制裁対象としたことに対する対抗措置とみられている。

制裁はマドゥロ大統領退陣を目的としたものこれまでで最も強力な措置。原油価格は上昇し、中国とロシアから批判の声が上がっている。

最高裁は、外国による内政干渉を手助けしたとしてサーブ検事総長が申請したグアイド氏に対する予備的捜査を許可。同氏の出国禁止と銀行口座凍結も命じた。同氏は議員として訴追免責の特権があるが、大統領に忠実な最高裁が即座に捜査を認めたかたちとなる。

こうした中でボルトン米大統領補佐官(安全保障担当)はツイッターで「民主主義を破壊し、グアイド氏を傷付けようと試みる人々は、自らの行為が重大な結果」をもたらすと警告し、サーブ氏は「正当な権限を持たない前検事総長だ」と指摘した。

米国ほか複数の国は、グアイド氏を合法的な国のトップと認めマドゥロ氏を権力の強奪者とみなしている。

グアイド氏は29日、今後投獄される可能性は決して小さくないとの見方を示しつつ、それは「何も目新しいこと」ではないと冷静さを示した。ベネズエラではこれまで多くの野党指導者が投獄されてきた。

多くの専門家によると、マドゥロ大統領に制裁や圧力が加えられても、実際に退陣するのは軍の支持を失った場合だけで、今のところ軍の大部分は与党・統一社会党に忠誠を誓っている。

29日もマドゥロ氏はテレビ放送で軍の基地に姿を見せ、支持を受けていることをアピールした。

一方米国務省は同日、ニューヨーク連銀などが管理しているベネズエラ政府や中央銀行の資産を取り扱う権限を持つのはグアイド氏だと正式に認定した。

米国による軍事介入の可能性は非常に小さいとみられているが、トランプ大統領は繰り返し「あらゆる選択肢が検討対象」と述べいる。また28日にボルトン氏が会見で「兵士5000人をコロンビアへ」と記したメモを持っていたことも波紋を呼んでいる。コロンビアはベネズエラの隣国。

ベネズエラのケベド石油相は29日の記者会見で、米国がPDVSAを制裁対象としたことを受け、部分的な不可抗力条項の発動を含めた複数の措置を検討していると明らかにした。

またPDVSAはトランプ米政権による制裁を回避するため、米製油企業を含む主要顧客に対して契約の見直しを求めている。交渉に携わっている関係筋4人が明らかにした。

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