パンに塗るバターとマーガリン。市場には実にさまざまなものが出回っている。マーガリンはコレステロールが低いから、血圧の高い人にいいと思われていたが、実際にその通りだろうか? 医療ジャーナリストのギフォード=ジョーンズ博士は英文大紀元で、マーガリンの長所に疑問を投げかけながら、現代病の問題を指摘している。
マーガリンは体が分解しやすい液状の油(不飽和脂肪酸)から作られるため、飽和脂肪酸が抑えられていてコレステロールを含まない。このため心臓によいとされてきた。しかし、コレステロールそれ自体は悪いものではない。体の細胞にとって必要なものであり、私たちの血中コレステロールの90%は肝臓で生成されている。コレステロールなしでは、私たちは生きていけない。
歴史的に油の種類を調べて見ると、飽和脂肪酸は何千年も使われている食用油である。長年にわたってインドではギー、熱帯地域ではココナッツ油、中国ではラード、ヨーロッパではバターが使用されてきた。長寿で知られる沖縄の人々が使う食用油はラードである。
フランスの食事で使われる油は飽和脂肪酸であるが、冠状動脈性心臓病の発生率は低い。カナダでは、イヌイットの食事は主に肉とラードが主体であるが、やはり心臓病の発生率が低い。飽和脂肪酸はそれほど体に悪くないというのが、最近の一般的な見解だ。
マーガリンは、液体油に水素添加反応を起こさせ、室温でも油が固形化するように生成したもの。還元剤として水素ガスを加えることで、トランス脂肪酸も生成される。この人工的に作られてしまったトランス脂肪酸は、現在、悪玉とされ、心臓病にも影響があると言われる。現在、トランス脂肪酸は、マーガリンからほとんど除かれてはいるが、まだ食品として製造されている。
マーガリンのもう一つのうたい文句は、オメガ3の脂肪酸の含有だ。しかし、多くの消費者は、さまざまなオメガ3脂肪酸があることを認識していない。マーガリンのオメガ3は、植物性の大豆油やキャノーラ油から作られているが、魚からのオメガ3脂肪酸に比べて劣ると主張する専門家も少なくない。
また、マーガリンの原料に使われて来た植物油は、オメガ6脂肪酸を大量に含む。大豆油やキャノーラ油はオメガ6の方をはるかに多く含有する。体によいとは言われるが、現代人は加工食品でこのオメガ6を多く採り過ぎている。オメガ3とオメガ6のアンバランスは、心臓血管疾患、喘息、癌、うつ病などの起因に関連している。
鶏や牛が、心臓病を増加させているわけではない。現代社会とは切っても切り離せない、肥満、糖尿病、高血圧症、倦怠感などの合併で、心臓病が引き起こされているのだ。
ハーバード大学の有名な心臓病専門医ポール・ホワイト博士は、100年前、心臓病はまれで、患者が入院すると、他の医師も経験のために呼び出されるほどだったと語っている。現在は、どこの病院に行っても心臓病には出会えるとギフォード=ジョーンズ博士は指摘して、記事を締めくくっている。
むやみに新しい食品を生み出すことで、複雑な病気が増えてしまっているのではないだろうか。
(翻訳編集・山崎/鶴田)
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