野路菫は日本全土の日当たりのよい山地、道端に生えるスミレ科の多年草。スミレ科の仲間は多く、日本には50種以上もあり、似た種類もあります。無茎類と有茎類に分けられますが、すべてを総称してスミレとも呼んでいますので注意が必要です。無茎類にノジスミレ、コスミレ、スミレなどがあります。ノジスミレは全体に白く細かい毛が多く、中ほどの一対の花弁が無毛です。花は淡紫色~紅紫色で、花芯が見えにくく、芳香があります。花弁の後ろに突き出た袋状の部分を距(きょ)といい、内に蜜があります。スミレとの違いは根が白いことです。スミレ属植物の無茎類の全草を乾燥したものが、紫花地丁(しかじちょう)という生薬です。
身近なその他のスミレには、匂いがあるニオイスミレ、葉に深裂があるエイザンスミレ、黄色で高山に自生するオオバキスミレ、有茎種のオリヅルスミレ、ツボスミレ、パンジーなどがあります。
ヨーロッパから中近東原産のニオイスミレは花に強い芳香があり、香料の原料として最近まで栽培されていました。
また、絶滅に瀕する品種もあります。オリヅルスミレもその一つで、ダムに沈む場所から持ち帰られ、植物園の中で丹精こめて育てられ、今春はじめて白い花が咲きました。
(編集・望月 凛)
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