焦点:豪州で「住宅バブル」崩壊、好調経済に暗雲

Tom Westbrook

[シドニー 22日 ロイター] – オーストラリアでシドニーなど都市部の不動産ブームが崩壊し、好調を続けてきた経済全体にもその影響が広がり始めた。

不動産価格がピークを付けた2017年、シドニー郊外の住宅地エッピングには開発業者が押し寄せ、不動産を高値で買いあさった。

それが今では住宅価格の下落に歯止めがかからず、エッピングはバブル崩壊の震源地とみられるようになった。

不動産の買い手は支払い不能になり、一部のプロジェクトは借金を背負った状態。債権者が資金を回収するため、アパートがまとめて売りに出され、この地域の不動産価格をさらに押し下げている。

不動産コンサルタントのデータによると、エッピングの不動産価格は17年8月のピークから2割以上下がった。

<建設企業の破綻>

建設業界では、昨年11月に破綻件数が約3年ぶりの高水準に達した。この結果、27年間一度もリセッション(景気後退)に陥らず拡大し続けてきたオーストラリア経済全体に余波が広がり始めている。

銀行から広告企業、小売企業に至るまで、利益見通しの下方修正が相次ぎ、オーストラリア準備銀行(中央銀行)は利下げを視野に入れるようになった。

住宅価格の下落は、市民が手ごろな価格で住宅を取得できるよう当局が導いた面もあり、完全に悪い話というわけではない。

エッピングの場合、住宅価格は17年までの8年間で2倍に上昇していた。

オーストラリア当局は外国人への融資を規制。また中国が資本流出を規制し、中国人投資家によるオーストラリア不動産需要が減ったことも価格下落につながった。

国内銀行が当局の圧力で融資基準を引き締めたことにより、国内の住宅投資家も資金の借り入れが困難になった。この結果、住宅価格が下がって初めての住宅購入者にチャンスが生まれた。

ただ、住宅価格が下落すると住宅所有者が節約を増やし、支出を控える傾向がある。

バーティアム・アセット・マネジメントのジェーソン・テー最高投資責任者は「あらゆることに影響が及ぶ。企業利益が示している通り経済の勢いは衰えており、さらに悪化するかどうかが問題だ」と述べた。

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