アングル:米中摩擦長期化か、ポートフォリオ見直し急ぐ投資家

[ニューヨーク 13日 ロイター] – 米国と中国が輸入品の追加関税率引き上げを相次いで発表し、米中貿易摩擦は激化する様相を呈してきた。このため投資家は両国の対立が長期化するとの見方を強め、貿易関連の銘柄を手放して低リスク資産に資金を移すなどポートフォリオの見直しを進めている。

トランプ米政権は10日に2000億ドル相当の中国からの輸入品について追加関税率を10%から25%に引き上げると発表。これに対抗して中国は13日に米国からの輸入品600億ドル相当の追加関税率を最大25%に引き上げると方針を示した。

米中の対立がエスカレートしたことから、13日の米金融市場はS&P総合500種指数が2.4%安と1月3日以来の下げを記録。米国債利回りは6週間ぶりの水準に下がり、「恐怖指数」と呼ばれるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のVIX指数<.VIX>は急上昇した。

プルデンシャル・ファイナンシャルの首席市場ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は「ディフェンシブ銘柄や、キャッシュフローをプラスに保って配当の継続が可能な企業に対する資金配分を増やす動きが見られる」と指摘。「これで終わりということはない」と述べ、13日以降もこうした流れは続くと予想した。

米中通貿易協議が決裂すれば企業の業績見通しは悪化すると投資家はみている。関税率引き上げで企業はコストが高まって利幅が小さくなり、通商問題を巡る先行き不透明感が設備投資計画にも影響するためだ。

株式市場で最も下げががきついのは貿易関連の銘柄。年初から市場をけん引してきたハイテクセクターは13日の下落率が3.7%と最も大きかった。S&P500種で下落率が最大の銘柄をアップル<AAPL.O>、ボーイング<BA.N>、キャタピラー<CAT.N>が占めた。

半面、S&P500公益株指数<.SPLRCU>は1.1%上昇し、S&P不動産株指数<.SPLRCR>は横ばいにとどまった。

投資家心理の急変を受けて一部の投資家がキャッシュに向かいそうだとみるストラテジストもいる。ジョーンズ・トレーディングの首席市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「キャッシュの配分を引き上げる動きがあっても驚かない。市場は事態が極めて悪いということを理解し始めている」と述べた。

トレーダーは追加関税率の引き上げとともに、中国がトランプ政権の強硬姿勢に対抗して保有する米国債を売却するのではないかと懸念している。その場合、米国の借り入れコストは跳ね上がる一方、人民元相場が上昇して中国の輸出には打撃となる。

BMOキャピタル・マーケッツの米金利ストラテジーヘッドのイアン・リンゲン氏は「米国債利回りがどこまで行くかは重要な問題になっている」と述べた。

米中が最終的に合意に至るとの期待を捨てていない投資家はまだ少なからず存在し、最近の株式市場の下落をそれほど心配していないとの声も聞かれる。ハリス・ファイナンシャルのマネジングパートナー、ジェイミー・コックス氏は「市場は一息ついただけだ。交渉決裂なら相場はもっと大きく、もっと幅広く下げただろう」と述べた。

しかし貿易協議を巡る不透明さに投資家がいつまで耐えられるか不安視する市場関係者は多い。インベスコの首席グローバル市場ストラテジスト、クリスティナ・フーパー氏は「投資家は最良の結果を願っていた。(しかし)米中関係は悪化している。投資家の10日時点の期待は裏切られた」と述べた。

(Caroline Valetkevitch記者)

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