多国間主義失敗なら新「冷戦」へ、EUは主導的役割を=国連事務総長

[ベルリン 30日 ロイター] – 国連のグテレス事務総長は30日、多国間主義が失敗すれば世界は新たな「冷戦」に突入すると警告し、欧州連合(EU)に対し規則に基づいた世界的な秩序の保全に向け主導的な役割を果たすよう呼び掛けた。

グテレス事務総長はドイツのアーヘン市が1949年から毎年、欧州の統合に功績のあった人物に授与している「カール大帝賞」を受賞するために同市を訪問。28カ国で構成するEUは多国間主義の柱であるとし、「新たな冷戦を回避し、真の多国間主義的な秩序を確立させるには、『欧州合衆国』がその力強い柱として存在する必要がある」と述べた。

その上で、気候変動や移民・難民問題などへの対応で世界的な秩序の必要性がこれまでになく高まっている時に、国連を要とする世界秩序は国家主義と排他主義の台頭で脅威にさらされていると指摘。「あまりにも多くのことの有り難みを忘れてしまったことが苦い現実だ。人権が国家主権に押される事態となっている」とし、「欧州が失敗すれば、必然的に多国間主義、および世界も失敗する」と述べた。

グテレス氏はポルトガル首相を務めた経験があり、アーヘン市は同氏が多国間の協力などを推進したとして今年の受賞者に選定。過去の受賞者にはローマ法王フランシスコやフランスのマクロン大統領がいる。

*写真を追加します。

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