2019年7月16日、米国務省主催の宗教の自由推進会議が開幕した。壇上でセッションする(左から)サム・ブラウンバック宗教自由大使、ナンシー・ペロシ下院議長、フランク・ウルフ元議員(ライン・リン/大紀元)

「信仰の抑圧、世界的な危機」宗教自由大使が警鐘 宗教の自由推進会議開幕

米国のサム・ブラウンバック国際宗教自由大使は7月16日、ワシントンで、信仰に対する抑圧にはあまり関心が寄せられていないが、世界規模の危機にあると述べた。

ブラウンバック大使は、16日から3日間の日程で開かれる、米国務省主催の「宗教の自由推進会議」初日に基調演説をした。大使は、トランプ政権は、世界各地で行われている宗教的迫害に立ち向かうことを約束したと述べた。

国務省によると、3日間の会議は世界最大の宗教の自由に関するフォーラムとなり、1000人以上の宗教指導者や関係組織が、数十の国から集まる。

「閣僚たちは、世界中の宗教、信条を理由にした殺害、投獄、嫌がらせ、迫害を目撃している」「この世界規模の危機を逆転させると決心している」と語った。

サム・ブラウンバック氏はかねてから人道問題に力を入れている共和党議員で、北朝鮮による日本人拉致問題においても、積極的に米国から協力した。

同日に演説したマイク・ポンペオ国務長官は、「私たちの社会には、クリスチャン、イスラム教徒、ユダヤ教、ヒンズー教、シーク教、仏教、法輪功などさまざまな背景の人々がいる」とポンペオ長官は述べた。

「人生の一部を捧げて迫害されている人々を助け、自らの信仰を実践して良心を守り、魂のために不可侵の権利を保護している、すべての人に感謝する」と長官は語った。

このたびの会議では、外国からの代表団の100人以上が集会に招待された。しかし、中国、イラン、パキスタンのような宗教の自由が酷く侵害されていると報告される国からの参加者はいなかった。

過去20年間、米国務省は共産党体制の中国について「体系的で継続的に、宗教の自由を侵害している」と説明しており、宗教の自由が「特に懸念される国」に指定している。

中国影響の拡大「世界の良心への挑戦」

会議でパネルディスカッションを行った米下院議長ナンシー・ペロシ氏は、世界規模の経済の影響力を考えると、中国における宗教的自由の侵害は「世界の良心への挑戦」と喩えた。

「中国の人権と宗教の自由の侵害に反対する意思を示さなければ、米国は世界各地でそれを語ることもできなくなる。道徳的な権威を失う」とペロシ氏は語った。

6月、米国務省は世界の宗教の自由に関する年次報告書で、中国共産党について「創立以来、すべての宗教的信仰に対する極端な敵意を持っている」と説明した。

当時の発表会見で、ポンペオ長官は「中国では法輪功学習者、クリスチャン、チベット仏教徒など、多くの信仰に対する政府当局からの激しい迫害が当たり前になっている」と述べた。

世界的な宗教の自由を長年支持してきた、元米上院議員フランク・ウルフ氏は、サム・ブラウンバック大使とペロシ議長とのセッションのなかで、中国共産党による信仰の虐待はこの30年で最悪のレベルだと述べた。

ウルフ氏によると、この政権の侵害行為の中には、カトリック教会の破壊、100万人以上のウイグル族やその他のイスラム教徒の大量収容、チベット仏教徒に対する文化的な虐殺を挙げた。また、信念を理由に監禁されている法輪功学習者から、臓器を強制摘出する体系的なシステムがあると述べた。

ペロシ氏は、1989年6月天安門広場での虐殺の後、彼女と他の議員たちは北京に向かい、中国と米国が優先的な取引を行うのをやめる提案をしたという。またペロシ氏は、経済の改革開放は自由主義の自然的な拡大につながると考えていたという。

「30年経っても、これ(自由)は実現していない」とペロシ氏は述べた。さらに、米国の対中貿易赤字は、当時の年間50億ドルから週50億ドルに激増した、と付け加えた。

ウルフ氏は、信仰者の抑圧と統制に使われる監視技術や人工知能(AI)など、中国企業と協力する外資系企業は思慮するべきだと述べた。

被害者は、自由の抑圧に関わる企業に対して告訴するべきであり、ウイグル族、チベット族、法輪功学習者らは損害賠償を請求する権利が与えられるべきだとウルフ氏は述べた。

ペロシ氏は告訴の提案を支持し、人権侵害を停止するために企業に声をかける必要があると述べた。「私たちは強くスポットを当てて、『あなたは非常に悪い行動の共犯者』と言わなければならない」と語った。

(文 キャシー・ヘイ/編集・佐渡道世)

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