安倍首相、解散「考えないが排除せず」 改憲へ議論呼び掛けも

[東京 22日 ロイター] – 安倍晋三首相(自民党総裁)は22日、衆院解散・総選挙の可能性について「考えてはいないが、あらゆる選択肢を排除することなく、まずは(参院選で)約束したことを一つ一つ実行していきたい」と述べた。改憲勢力3分の2の形成に向け、与野党の枠をこえて議論を呼び掛ける考えも示した。

自民、公明両党が改選過半数を獲得した参院選結果を受け、党本部で記者会見した。安倍首相は会見の冒頭、今回の参院選について「最大の争点は政治の安定だった。安定した政治基盤のうえに『令和』の新しい国づくりを進めよ、との力強い信任を頂いた」と語った。10月の消費増税を財源とし、少子高齢化などに対処する考えも示した。

持続可能な社会保障基盤の構築には「強い経済」が必要との認識も重ねて示した。その上で首相は、米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱などを念頭に「世界経済の先行きには不透明感がある」とし、「下振れには躊躇(ちゅうちょ)なく、万全の対策を講じる。これまで以上に積極果敢な経済政策に取り組む」と述べた。

憲法改正に向けては「(参院選で)議論すべきという国民の審判が下った。改正案の策定に向け、強いリーダーシップを発揮したい」と述べた。スケジュールありきの議論に否定的な考えを示す一方、改憲勢力の形成に向け「与野党の枠にとらわれず、幅広く議論したい」と強調した。

首相は会見で、参院選後の臨時国会を8月1日に召集することも明らかにしたが、その後の日程に関しては「政治日程を踏まえて検討する」と明言を避けた。内閣改造・党役員人事についても「まったくの白紙」とした。自民総裁4選の可能性については「考えていない」と述べた。

外交・安全保障分野では、未だ拉致問題解決に至っていない現状について「痛恨の極み。責任の重さを痛感している」とし、「あらゆるチャンスを逃さず、今後も全力を尽くしていきたい」と語った。日韓関係の悪化に関しては「韓国には、まずは約束を守ってもらいたい」との認識をあらためて示した。

ホルムズ海峡周辺の安全確保に向けた米国主導の有志連合構想に関しては「どう対応するか、米国の考え方の詳細を詰めたい」と言及した。中東の平和と安定は「エネルギー・安全保障上、死活的に重要」との認識も併せて示した。

一方、イラン情勢を巡って「米国と緊密に連携をとっている。同時に、日本はイランとも友好関係をもっている」とし、「ホルムズ海峡が波静かになるよう、日本にできることをしていきたい」と述べた。

*カテゴリーを修正して再送します。

 

(山口貴也)

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