EU、コロナ対応で1兆ユーロの緊急基金設立へ 詳細は持ち越し

[ブリュッセル 23日 ロイター] – 欧州連合(EU)首脳は23日、新型コロナウイルス流行で打撃を受けた経済の復興を支援する1兆ユーロ規模の緊急基金を設立することで合意した。ただ、資金を返済の必要がない助成金として支給するのか、あるいは返済が必要な貸付金として支給するかを巡って各国の意見が分かれたため、詳細は今後に持ち越すことになった。

EU本部のあるブリュッセルを含む欧州のほぼ全域がロックダウン下にある中、27加盟国の首脳は4時間にわたりビデオ会議を開催。2021─27年のEU予算案の下での復興基金の設立が話し合われた。

ただ、域内国民総所得(GNI)の1%程度を占めるEU予算の拡大は、容易には進まなそうだ。

フランスのマクロン大統領は会談後、基金の形式を巡る「各国の溝は埋まっていない」と認めた上で、新型コロナの打撃が深刻な国への財政移転が必要になると述べた。

イタリアのコンテ首相は、基金の規模について1兆5000億ユーロ程度が望ましいとした上で、資金は各国政府への助成金として支給すべきと主張。「公衆衛生の危機は社会的な危機に発展し、今や政治的な危機さえ招いている」と指摘した。スペインも助成金扱いとする考えに賛成すると表明した。

これに対し、オーストリアのクルツ首相は、資金は助成金ではなく貸付金として支給すべきで、「同様の意見を持つ国々」と共同歩調を取ると明言、デンマークやスウェーデン、フィンランド、オランダなどとの連携を示唆した。この他、フランスは基金を通じたEUの共同債発行が望ましいとした。

ドイツのメルケル首相は、会談後に「欧州にとってうまくいくことは、ドイツにとっても同じ」と述べ、大規模な復興基金への支持を表明した。

外交筋によると、EU首脳は欧州委員会に対し、5月6日までに詳細を詰めた案を提示するよう指示した。

欧州委のフォンデアライエン委員長は、EU各国は新型コロナで打撃を受けた経済の支援にこれまでに総額1兆8000億ユーロを拠出し、新たな復興基金は1兆ユーロ規模になると発言。

また、必要に応じてEU各国に割り振る拠出金の額を現在の対GNI比1.2%から2%に増やすことを提案した。それは欧州委員会が共同債を発行する際に必要となる各国からの暗黙の保証を意味する。

首脳会議に関わるEUの上級外交官は「われわれはある種の共同債構想に徐々に向かっている。それは『コロナ債』とも『ユーロ共同債』とも呼ばれることはなく、加盟国ではなく欧州委員会によって提起されるだろう」と語った。

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は23日、EU首脳に対し、新型コロナのパンデミック(世界的流行)により今年の域内総生産(GDP)は最大15%縮小する恐れがあるとした上で、景気回復における財政的な問題に確実に対応できるよう、強力かつ柔軟な基金を迅速に設立するよう要請した。

*内容を追加しました。

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