インド洋の島国モーリシャスの沖で日本の貨物船が座礁し、燃料の重油が大量に流出した。
▼事故が起きたのは7月下旬だったらしいが、日本から遠いせいもあってか、意識として切迫したようには感じられなかった。しかし、その写真や画像をみると、ぞっとするような光景である。周辺の海は、日本の東京湾とは比べものにならないほど青く美しいが、二つに折れた船体から、恐ろしい色の重油が広がっているのがわかる。
▼海が油で汚染されるのは、実に悲しい。今回、事故を起こしたのは原油を運ぶタンカーではなかったが、それでもサンゴ礁など周辺の自然環境や、モーリシャスの主要産業である観光に重大な影響を与えることは避けられない。
▼石炭の時代は終わったが、人類はまだ石油を中心とする化石燃料に依存している。ならば海上を大量の原油が運ばれていく状況は今後も続くのだろう。いつ、どこで重大事故が起きるか、あるいは戦禍に巻き込まれるか分からない。
▼それだけではない。原料や燃料となる油は、人類にとって欠かせないものではあるが、最後まで責任をもって処理しなければ、極めて簡単に自然環境を汚染するという実に厄介な物質でもある。大気も、河川も、海洋も、汚すのは1日でも可能だが、それを元に戻すためには長大な時間と労力が必要とされるのだ。
▼中国の汚染のひどさを、どうしても想起してしまう。中共は、天の定めによって間もなく解体消滅するが、後に残されるものは、想像を絶するほど汚染された国土と、道徳を失って退廃した人心であろう。汚すとは、誠に恐ろしいことだ。
【紀元曙光】2020年8月19日
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