習近平氏の幼なじみもモンゴル語禁止に反対か 紅二代が体制批判強める
中国当局は8月、内モンゴル自治区の小中学校の授業でモンゴル語を使うことを禁止し、代わりに標準中国語を使用するよう強要した。この政策に対して、モンゴル族住民だけでなく、1950~70年代まで、都市部から内モンゴル自治区に下放された元知青(知識青年、インテリの青年たち)らも、強く反発した。ネット上では、元知青だった紅二代(毛沢東らと共産革命に参加した長老らの子弟、太子党)らが署名した公開書簡が投稿された。中には、中国共産党の習近平総書記の幼なじみの名前もあった。
在米中国人学者の韓連潮氏は9月7日、「内モンゴル挿隊知青はモンゴル語禁止に反対する」との公開書簡をツイッターに投稿した。書簡は、中国当局が内モンゴル自治区の学校で標準語教材の使用を進めることについて、地元住民に「大きな不安をもたらした」「70代になる元知青である私たちも非常に驚いた」とした。
公開書簡は、モンゴル語禁止政策は「モンゴル族住民の感情を傷つけた」「内モンゴル自治区は、新疆ウイグル自治区の道をたどる可能性が大きいため、心が痛む」と強調した。また、中国当局に対して、政策の実施によってもたらす「人心向背(たくさんの人たちが同意するか反対するか)」という問題を直視しなければならないと指摘した。
書簡の署名欄には、「かつて草原に下放された老知青」と書かれており、「馬暁力、劉進、李衛平、牛立、宋岩、騰平」などの名前があった。日付は2020年9月5日となっている。
馬暁力氏は、共産党政権樹立初期の労働相や元中国人民政治協商会議全国委員会副主席を務めた元老、馬文瑞氏の娘だ。馬文瑞氏は、同じ共産党元老だった習近平総書記の父、習仲勛氏と近い関係だったため、馬暁力氏は習近平氏の幼なじみだと知られている。
劉進氏は、河南省党委員会書記で高等教育部(省)副次官だった劉仰嶠氏の娘だ。
また、署名リストに挙げられた「宋岩」氏について、民主活動家で作家の胡平氏は9月8日、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)への寄稿で、「宋彬彬氏であることに間違いない」とした。宋彬彬氏は内モンゴル自治区に下放された際、「宋岩」と名乗っていた。宋彬彬氏は、共産党八大元老の一人、宋任窮氏の娘で、1966年に毛沢東が動員した文化大革命で紅衛兵の最高幹部となり、勤務中の高校の校長を木棒で殴打し死亡させたことで知られる。
2014年1月、劉進氏と宋彬彬氏は、過去に自分らが暴行した元教師や元同級生に対して謝罪した。
署名リストには実業家の王瑛氏の名前もあった。王氏は、紅二代の任志強氏の友人だ。任氏は今年3月、評論記事を公開し、中国当局が中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染実態を隠したと批判した上、習近平氏を「裸になっても皇帝を気取るピエロだ」と嘲弄した。この後、任氏は一時消息不明となった。任志強氏の父は、任泉生・元商業部(省)副次官だ。
当時、王瑛氏らは、ロイター通信の取材を受け、任氏の消息が途絶えたことは「非常に不安だ」と明かした。
一方、現在、米国に滞在している紅二代で中央党校の元教授、蔡霞氏は9月7日、SNS上で同公開書簡を転載した。蔡氏は今年6月、プライベートの集まりで共産党を「政治ゾンビだ」と、習近平氏を「マフィアのボスだ」と非難した。中国当局は8月、蔡氏のこれまでの体制批判言論は党の政治規律などに違反したとして蔡氏の党籍をはく奪し、退職者待遇などを取り消した。
蔡氏は8月、米メディアのインタビューで、「6、7割の党員や幹部」が同氏と同様に、習近平当局に不満を持っていることを明らかにした。
(翻訳編集・張哲)