カナダ財務相、コロナ支援に「限界ある」 中銀総裁は先行きに慎重

[オタワ 28日 ロイター] – カナダのフリーランド財務相は28日、新型コロナウイルス流行下の家計や企業への財政支援には限界があり、時限的なものになるとの認識を表明した。一方、カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁はコロナ危機後の景気回復までは「長くてつらい道のり」になると指摘した。

マックレム総裁はまた、ロイターのインタビューで、第4・四半期の米経済成長率は予想から下振れする可能性があり、カナダの輸出に悪影響が及ぶとの見方も示した。

フリーランド氏はトロントで開かれた経済フォーラムで「コロナとの闘いでの政府の財政拡張的なアプローチは無制限に続くわけではない。限界があり、時限的なものだ」と述べた。

ただ、政府が年内に「かなりの規模」の的を絞った財政出動を行う見通しであることも明らかにした。

中銀は同日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.25%に据え置き、金利が2023年まで現行水準にとどまるとの見通しを示した。さらに、コロナ感染第2波が短期的に「より顕著な」鈍化を引き起こす可能性があると警告した。

国内の新型コロナ新規感染者はここ数週間で急増しており、部分的な行動制限が導入された。

マックレム総裁はインタビューで、フリーランド氏の発言はまだ確認していないが、金融政策が財政政策を補完してきたと指摘。

「政府が導入したさまざまな緊急支援や所得支援策がコロナ流行による底割れを防ぐのに役割を果たしてきたのは疑いようがない」とした。

中銀は経済成長率見通しについて、2020年は従来よりも小幅な落ち込みになるとした一方、21年の予想は下方修正した。22年は据え置き、同年初頭に経済活動はコロナ流行前の水準に回帰するとした。

総裁は会見で「われわれはこの事態を乗り越えるが、長くつらい道のりになる」と指摘した。

<デジタル通貨で国際協調の必要>

総裁はインタビューで、デジタル通貨を巡り主要7カ国(G7)や他のパートナー国と緊密に連携していると明かし、他国の動きに意表を突かれたり、デジタル通貨が犯罪に使われる事態を防止するために国際協調の姿勢が必要だと強調した。

カナダ中銀は実証実験の段階からカナダドルのデジタル版実現に向けた万全な計画策定に移行する構えだが、「現時点で」デジタル通貨の差し迫った必要性はないと述べた。

「他国にデジタル通貨があり、カナダになければ、問題が生じるのは確実だ。そのため、準備を整えたい」と語った。「通貨は国境をまたいで移動するので、他国に意表を突かれたくはない。各国の状況について情報を共有することが重要になる」とした。

また、民間発行デジタル通貨が「適切な目的で適切な人々によって使われるよう図る」ため、カナダ中銀はG7や金融安定理事会(FSB)、20カ国・地域(G20)と協力していると述べ、資金洗浄(マネーロンダリング)やテロ資金としての利用を阻止する必要性を強調した。

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