中国と中東欧17+1首脳サミット、複数国の首脳が出席せず 香港問題などが影響
9日に開催予定の中国と中東欧諸国の「17+1」首脳サミットは、リトアニアを含む複数の欧州国家の首脳が出席を辞退したことがわかった。中国当局が香港問題で強硬な姿勢を見せたことや、過去の約束不履行問題が中東欧各国を遠ざけたようだ。
「17+1」は、中国当局が大規模なインフラ投資プロジェクト「一帯一路」構想を促進し、中東欧国家17カ国(うち12カ国はEU加盟)との関係強化を図るための経済協力の枠組みだ。
同サミットは当初、昨年初めに開催予定だったが、パンデミックの影響で今年2月に延期され、オンラインビデオによる開催となった。中国の習近平主席も出席する予定だ。
しかし、中東欧の複数国の指導者は相次ぎ不参加を表明した。ドイツの経済紙「ハンデルスブラット」が外交筋の話を引用してリトアニア、ラトビア、エストニアのバルト三国やルーマニアの首脳は出席しないと報じた。
欧州連合(EU)のリトアニア常駐代表の報道官は、「現時点で確認できていることは、リトアニアの大統領や首相レベルの指導者が出席しないことだ」と述べた。
エストニア政府の報道官は、同国の外相が代わりに出席すると発表した。
ラトビア政府は、「新型コロナ(中共ウイルス)のため、派遣する閣僚について最終的に詰めているところだ」と回答した。
エストニアのカヤ・カラス(Kaja Kallas)首相の報道官は、「我々はむしろEUの27+1メカニズムへの更なる関与を希望し、EUの共通政策を通じて中国に対処したい」と述べた。
「ハンデルスブラット」紙は情報筋の話を引用して、中東欧諸国が「17+1」枠組みに対して慎重な姿勢を見せているのは、中国側の投資約束の不履行に失望しているためだと報じた。また、今回のサミットは経済・貿易に関する内容の不足も影響していると報じた。
中国側は、同サミットの正確な日程や参加者などの詳細は明かしていない。
中国はかねてから東欧諸国を抱き込もうとしている。特に「一帯一路」構想の提案後、中東欧諸国との「17+1」メカニズムを提案した。しかし、中国共産党政権が昨年6月、香港に国家安全維持法を強行導入した後、東欧諸国は中国を大きな脅威と見なすようになった。
エストニアのケルスティ・カリユライド(Kersti Kaljulaid)大統領は昨年7月中旬、ドイツの「ディ・ヴェルト」紙に対し、ロシアと中国共産党からの脅威に対抗するために、ヨーロッパは力を合わせるべきだと語った。
バルト三国が昨年に発表した安全保障報告書は、中国がロシアと同じように、同国の主要な安全保障上の脅威だと認識を示した。
ルーマニアは昨年6月、中国との間で締結された2基の原子力発電所の建設に関する合意を撤回し、同国は、数十億ユーロにのぼる原子力発電所建設の再入札を行うと発表した。
(大紀元日本ウェブ編集部)