京都大学の大学院医学研究科・消化器内科らの研究グループは、指定難病である潰瘍性大腸炎の新たな自己抗体を発見した。研究発表によれば、根治的治療が存在せず長期間にわたる治療が必要となるこの難病に、病態解明と根治の可能性が示された。
潰瘍性大腸炎は、大腸に潰瘍などを形成する炎症性腸疾患で、若い方を中心に患者数が世界的に増加している。日本の患者数も20万人を超える。この難病に10代で罹患し、50年以上の苦しみを経験する安倍晋三前首相が、総理職を辞任する理由となったことでも知られる。
潰瘍性大腸炎の症状は慢性的で、軽減と悪化が繰り返される。発症には免疫の異常が関連していると考えられているが、原因はいまだ不明で国の指定難病となっている。
このほど、研究グループは、インテグリンαVβ6というタンパク質に対する自己抗体が、潰瘍性大腸炎患者の約90パーセントにあることを発見した。この抗体の特徴を分析することで、新たな診断法、新薬開発、そして病態解明につながる可能性がある。
京都大学から発表された研究者のコメントは次の通り。「今回の研究結果はその確定診断方法の確立や、治療法開発の突破口になる可能性があるため、医師・研究者としてとても嬉しく、また興奮しています。これからも引き続き研究を行い、潰瘍性大腸炎の診断・治療に貢献できればと思っています」
この研究成果は、2021年2月12日にアメリカ合衆国の国際学術誌「Gastroenterology」にオンライン掲載された。
(大紀元日本語ウェブ)
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