母の教え いつも感謝の気持ちーー台湾大学「学力テスト」チャンピオンの楊さんの話

台湾大学の「学力テスト」[注]の結果が25日に発表され、桃園市の高校生、楊宇荃さんが5教科75点の満点で「最優秀賞」を獲得しました。 彼の夢は、医学を学び、将来は国境のない医師になって、貧しい地域や困っている人たちを助けたいとのことです。

彼は中央通信社の取材に対し、「清掃員、私は将来、国境のない医者になりたい。」と言っていました。
 

シングルマザーの献身
 

台湾の桃園市楊梅区にある吉平高校の3年生、楊宇荃さんは、今年の台湾学力テストで「最優秀学生」に選ばれました。 幼い頃に両親が離婚し、中国本土出身の母に一人で育てられました。 母親は生計のため、商業ビルの清掃員として働いています。

母親は重労働の仕事で、朝早くから夜遅くまで仕事をしているにもかかわらず、息子の勉強をいつも厳しく指導していました。 彼女は息子に良い学習環境を整えようと努力しました。息子に「学校で一生懸命勉強しなさい」「将来、機会があれば社会に貢献しなさい」とよく言っています。

母親の厳しい指導のもと、楊さんは幼い頃から勉強が得意で、成績もトップクラスだったそうです。 高校に入ってからは、母親が家計を支えるために必死に働き、彼には勉強に専念させていました。

母親はいつも彼に「人生の中、光を見せて、文句を言わないで」 「人生が苦しいときでも笑顔でいること、お世話になった人を忘れずに感謝の気持ちを忘れないこと」「一滴の水の恩には泉で報いなさい」と言っていました。
 

高い奨学金の理由
 

一生懸命学業に専念する息子に母親が一つの願いがあります。それは、高校を卒業後、息子が理想の大学に入学することを望んでいます。

楊さんは学業成績が優秀であったため、高校3年間で学校からいくつかの奨学金を受けました。それは、少しでもお母さんの負担を軽減したいとのことです。

学校の理事長である吳慶堂、王美只夫妻は、楊さんの家庭事情を知り、この一生懸命な子供のために何かしてあげたいと思って、奨学金の金額を引き上げたのでした。この善の行為は、親子にとって、嬉しくて、感動しました。
 

医師になることを決意した
 

楊さんは、高校2年の時に北医研主催の社会実習に参加し、初めて医療の現場に触れ、命を救うということを知りました。 母の献身的な働きぶりや、見知らぬ多くの人々が援助や無私の金銭的支援を提供してくれたことを思い出し、医師として、社会に献身したいという気持ちになりました。

先日、母の故郷を訪ねるのに同行した際、思いがけない体験をしたことで、医師になる思いはさらに強くなりました。 母親の故郷である福建省の親戚を訪ねるのに付き添っていた時に、急性の病気で嘔吐と下痢をしてしまい、母親と友人が1時間離れた病院に駆け込みました。

しかし、医師たちは、彼の病気を診断するための専門知識がなく、タイムリーで効果的な治療を行うこともできませんでした。 その時、身体の痛みと弱った生命力で、楊さんにとって、初めて都会と田舎の医療事情の大きな違いを体験したのです。

痛みを感じた結果、さらに、大学では絶対に医学を選択すると楊さんが決めていました。 また、卒業後、僻地や医療資源の乏しい国で、医療を必要としている人たちを助け、生き延びるチャンスを与えられるような仕事をしたいと考えています。

楊さんは今後の予定としては、世界の医療システムの分布を改善するために自分の役割を果たし、「どんな状況でも社会の役に立ちたい」という母の願いを叶えたいと語っています。 これも、この貧しい母子の素朴な願いです。

注)学力試験とは、Academic Aptitude Test for University Admissionsの略で、大学に入学するための基礎的な一般知識を持っているかどうかを判定する台湾の主要な試験です。

編集責任者:蘇明珍