台湾ADIZに中国軍機28機が侵入 台湾軍は「あなたたちの責任だ」と異例の警告を発信
台湾国防部は15日、防空識別圏(ADIZ)に侵入した中国軍機28機に対して、ただちに離れるように少なくとも15回の警告を発した。台湾軍は「何かあったら、あなた自身の責任だ」と中国軍機に対して、異例な警告を出す場面もあった。
台湾の航空機監視サイト「Southwest Airspace of TW」(台灣西南空域)のFacebookページによると、人民解放軍空軍(PLAAF)の 航空機が、同日午前5時半から午前10時ごろまで、数分おきにADIZに侵入した。
台湾軍は人民解放軍空軍(PLAAF)に対して、注意警告を行なった。「こちらは我々の領域だ。すぐに向きを変え、立ち去れ」との通常の文言に、一度は「何かあったら、あなた自身の問題だ」という異例の警告を加えた。
この警告に呼応する形で、中国軍機から「私は中国共産党空軍航空隊の一人だ。通常任務を実施している」との回答が届いたという。
中国軍機が台湾のADIZに侵入したのは、6月で4回目。今回、28機という爆撃機や対潜戦機、電子戦機などからなる。国防部が中国軍機の動向を公表し始めた2020年9月以降、一日あたりの数としては過去最多規模だった。国防部によると、中国軍機の一部は、バシー海峡の上空を太平洋側に飛来し、中国に戻った。
専門家は、主要7か国首脳会議(G7)で台湾海峡の平和と安定の重要性が強調されたことなどにより、中国が台湾に対する圧力を強化したものと考えている。また、14日に米軍空母「ロナルド・レーガン」打撃群が南シナ海に入ったことに対する牽制との見方もある。
台湾海峡の平和と安定については、16日に発表された米EU共同声明でも明記されている。これについて、蔡英文総統は米国とEUに謝意を表明し「台湾海峡とインド太平洋の安全と繁栄を促進するため、信頼できるパートナーであり続ける」とツイッターに書いた。
(佐渡道世)