7月1日、東京で開かれた中国共産党100年についての抗議活動で、LEDキャンドルを持つ抗議者(Photo by Takashi Aoyama/Getty Images)

人権侵害制裁法、総裁選3候補が支持を明言 「日本は立場転換を」NGOが訴え

国際NGO団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」などは24日、自民党総裁選の4人の候補者に対して実施した、人権侵害制裁法の導入および人権外交政策に関するアンケートの結果を発表した。同法導入を支持すると回答したのは、岸田文雄氏、高市早苗氏、野田聖子氏。河野太郎氏は、回答は避けたが、人権侵害は許すべきではないとの考えを示した。

河野太郎氏は制裁法の導入について、「立法府で審議されるべきものだから評価は差し控える」としたが、人権外交推進策は日本外交の重要政策の柱の一つであるとして支持するという。「独裁や監視を強めようとする国々に対して、自由と民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった共通の価値を大切にする国々と積極的に連携して対抗していく」との方針を示した。

人権侵害制裁法を支持すると回答した野田聖子氏は、「原則として力による解決よりも対話重視を優先する」との見方を述べた。そして、同法を揃えるG7各国と協調して、人権侵害を容認しないとの意思を表明した。また国内の貧困格差や差別などの人権問題も並行して取り組む必要性があると説いた。

岸田文雄氏は制裁法の導入を支持すると回答した。国際的な人権侵害に対して、議会では超党派で議論が進展していることを承知していると述べ、新設の総理補佐官級ポストとして「人権問題担当官」の設置を進めるとした。岸田氏は25日、日本ウイグル協会の于田(うだ)ケリム会長らと国会内で面会し、迫害の状況に耳を傾けた。

南モンゴルを支援する議員連盟の会長を務める高市早苗氏は、制裁法導入を支持した。人権侵害行為は国際問題であり、日本は主権国家として自由・人権・法の支配による国際社会の構築のため、国内外の人々の安全を保護する国際貢献を行うべきだと述べた。また、外国の指摘に対し中国共産党政府が「内政干渉」だと反発することについては、「人権侵害行為は国際問題」であると明言した。

アンケートを共催した、10数か国の超党派国会議員からなる「対中政策に関する列国議会連盟IPAC)」日本共同代表の山尾志桜里議員は、制裁法や決議について「1年前は誰に協力をお願いしても『何それ?』と言われた無名の法案が、総裁選の論点の一部になり感慨深い。対中政策や人権感覚の指針となる本法案。次の国会で動き出しますように」と期待を込めた。

結果発表にあたり、国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は声明を発表。「日本は、アジアに位置する人権尊重をルールとする民主主義国家」だが、歴代政権はウイグルやチベットなどの中国の民族弾圧やミャンマーの軍事政権などの問題に対処していないと非難し、「日本の立場の転換が必要」であるとして、国際人権問題への取り組みを呼びかけた。

(佐渡道世)

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