漢方医が勧める「養生三宝」で疲労回復

漢方では、脾と胃は消化器系をつかさどる最も重要な臓器です。脾胃が悪いと、消化不良や疲労感、肌のくすみなどが起こりやすく、脾胃が健康だと病気になりにくく、長生きできます。この脾胃を強化するのに効果が期待できる「養生三宝」、3つの食材をご紹介しましょう

脾胃に効く養生三宝 山芋、かぼちゃ、さつまいも 
 

1.第一宝の山芋は、脾胃を強化し、疲労を軽減する 

漢方薬局で売られている山芋は乾燥させたものですが、生の山芋は切ると白く粘りけがあって美味しく、生でも加熱しても食べられます。 

また、脾臓と胃を養い、腎臓のエネルギーを増し、痰や唾液を溶かし、皮膚と髪を潤します。山芋は、脾臓や胃が弱く、疲労や消化不良を起こしやすい人の体を丈夫にさせ、また、10代の子供には、成長や発育を助ける効果があります。脾臓が充実していると、肌が健康的な色になり、栄養が行き渡ります。 

また、山芋には血糖値を下げる働きがあります。高血糖を避けたい人は、山芋と豚バラ肉のスープを食べるとよいでしょう。豚バラ肉にはコラーゲンやカルシウムが含まれており、体にもいいのです。「四神湯」は脾胃の治療薬としておなじみで、山芋も入っています。 

さらに、山芋は腎臓に栄養を与えるため、エネルギーや集中力が高まり、頭がすっきりするでしょう。 

2. 第二宝のかぼちゃは、胃痛・胃の不調を改善する 

かぼちゃは、脾臓に良い食べ物で、食欲を増進させ、胃痛を改善します。胃痛に悩まされている人は、かぼちゃを食べると元気になります。 栄養学的には、かぼちゃにはペクチンが豊富に含まれており、胃粘膜を保護して、胃炎や胃潰瘍を予防する効果があります。 

仕事でストレスが多く、胃痛が頻繁に起こる人は、食事の時間が不規則になることが多いです。定期的な食事が難しい場合は、週に1~2回、かぼちゃのお粥やかぼちゃを食べて、胃腸に栄養を与えるのをお勧めします。 

かぼちゃの葉も種も、すべて貴重な食材です。以前私は、ノースカロライナ州で、庭でかぼちゃを栽培している友人に会いに行ったことがあります。春から夏にかけての時期で、葉っぱもきれいに育っていました。彼はかぼちゃの葉を切り取って、それを揚げた料理を振る舞ってくれましたが、とても美味しかったのを覚えています。 

かぼちゃ畑の農家の方は、かぼちゃやかぼちゃの種を定期的に食べているためか、前立腺肥大症になりにくいそうです。かぼちゃの種には、前立腺に良いとされる亜鉛が含まれています。 

私が徴兵制で軍隊や大学にいた頃、レストランでは豚肉を蒸して、肉の下にかぼちゃやさつまいもを敷いて出していました。 自分で料理をするのが好きな方は、健康にも良いので、ぜひ試してみてください。 

3. 第三宝のさつまいもは体を強くし、血圧を下げ、排毒する

さつまいもは気と体に良く、脾臓を補い、胃腸を広げ、便秘を解消します。お年寄りが食欲が無いとき、脾胃を養い体を丈夫にするために、さつまいも粥を作ることをお勧めします。 

さつまいもを定期的に食べている人は、ガスや便通がよくなり、ほとんどの腸の病気を改善することができます。 

さつまいもには、排毒効果や血圧を下げる効果もあります。また、吸収されにくい「レジスタントスターチ」が豊富に含まれているため、普段から血糖値の上昇を緩やかにすることができます。ただし、個人差がありますので、高齢で血糖値が高い方など、心配な方は少量を試してみて、血糖値に大きな変動がないかどうかを確認してから、食べ続けるかどうかを判断してください。 

(翻訳・志水慧美)