世の中には、記憶力に優れた人がいます。例えば、キム・ピークさんは、生涯で読んだ1万2千冊の本を一言一句間違えずに暗唱することができます。本を読む速さは、ひと目見れば読み取ることができるほどで、そして、読んだ内容は決して忘れません。後に、彼の体験をもとにした映画「レインマン」がアカデミー賞作品賞を受賞しました。
生まれつきの記憶力ですが、もちろん後天的な栄養やトレーニングも関係があります。例えば、古代の部族の多くの歴史は文字に記されることもなく、口伝で伝えられてきました。部族の若者は、その部族の歴史を、何十万字にもわたって、おそらく詩や歌の形で暗唱し、次の世代に伝え、受け継いでいったのです。
中国医学における記憶
漢方医学では、記憶力は脳髄に関係し、「脳は髄の海」、髄は腎臓の腎精から生成されるとされています。腎は遺伝と大きな関係があります。生まれた後、腎精は栄養を精に変えて腎臓に供給するため、栄養補給の必要があります。
記憶は先天と後天的なものの2つから構成されています。高齢になると身体機能が低下し始め、腎精が不足して髄を充実させることができなくなり、記憶力が低下します。さらに欠損が大きく認知症になるケースもあります。
したがって、腎を維持し、腎精を補って髄を充実させることが、漢方からみた記憶力アップの方法です。
古代の人々は、健康維持に大きな関心を寄せていました。中国において医薬と農業を司る神とされる神農はたくさんの薬草を試食する中で、記憶力を高める薬草を発見しています。
遠志
『神農本草経』には、遠志は「智を益し、耳目を聡明にし、忘れず、意志を強くして力を増し、長く服用すると体を軽くして老化させない」と書かれています。
李時珍の『本草綱目』には、「その働きは、意志と精髄を強め、物忘れを治す」とあります。
現代医学では、古代の記録に従って遠志を研究し、アルツハイマー病の動物モデルで服用前と服用後を比較することにより、記憶力や学習能力の向上に効果があることを発見しました。
そのまま食べても、スープやお粥にしても良いです。
【遠志ドリンク】
材料:遠志10g
作り方:水で30分ほど煎じ、汁を取り出し、朝夕2回、温かくして服用します。
【遠志と蓮の実のお粥】
材料:遠志30g、蓮の実15g、うるち米50g
作り方:遠志を水に浸し、皮を剥いた後に乾かして、蓮の実と一緒にすり潰します。うるち米に火が通るのを待ち、粉末の遠志と蓮の実を加えてさらに1〜2分煮る。
召し上がり方:お好みでお召し上がりください。
効果:心を益し、目と耳を清め、物忘れや不安、不眠症などに適しています。
霊芝
霊芝は非常に高価なため、遠志ほど広く使用されていません。『神農本草経』には、霊芝は「心を益し、中を整え、智を増やし、忘を防ぐ」と記されています。霊芝を長期的に摂取すると、体が軽くなり、長寿になります。
現代医学の研究により、霊芝には老化防止効果があり、脳細胞を活性化するのに有効であることが分かっています。
【霊芝ドリンク】
材料:霊芝10g
作り方:スライスしてお茶の代わりに飲みます。
【霊芝とミントのドリンク】
材料:霊芝2g、ミント5g、穀物の芽5g、砂糖25g
作り方:霊芝はスライス、ミントは細かく切り、穀物の芽は炒めます。鍋に霊芝、穀物の芽、水250mlと砂糖を加え、スープにとろみがつくまで煮たら、ミントを加えて10分ほど煮る。
効果:脳に栄養を与え、熱、気虚、疲労に悩む人に向いています。
エクササイズ
最後に、認知症予防や記憶力向上のための手の体操を紹介します。
右手は「銃」に、左手は鳥を表す「V」に見立て、「銃」を「鳥」に向けて構える。そして、左手は「銃」、右手は「鳥」に持ち替え、徐々に速度を上げていきます。
また、3羽の場合は3本の指を、4羽の場合は4本の指を伸ばして「鳥」の数を増やすことができます。
このように手を動かし続けることは、記憶力を高めます。
(翻訳・呉思楠)
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