心優しいウクライナの少女(TitovStudio / PIXTA)

私の思い出のキエフ「温もりと風格の街」(5)

 

(前稿から続く)

12 あなたを忘れない

私の思い出と、私の手元にある写真のなかの人々の顔には、喜びと安らぎがあふれています。

今は、そのキエフが戦場になりました。

この美しい街で、多数の市民が死ぬなどと誰が思っていたでしょうか。

もとは兄弟といって良いはずのウクライナロシアが悲惨な戦争をするとは、誰が予想できたでしょうか。

私がウクライナを離れてからもう長い時間が経ちますが、懐かしいキエフを振り返り、また現在のウクライナのニュースを目にするにつけ、私の心の中には、激しい嵐が吹き続けています。

私の記憶の多くは、美しい画面に保存されています。

この美しさは私の当初のウクライナに対する印象と一致していますが、ウクライナの現在の姿とは、あまりに深い溝があり、絶望的なほど遠く離れています。しかも、時の流れの中で、誰も過去に戻ることはできません。

 

13 前世からの縁

ウクライナは私の母国ではありません。

ただ私がしばらくの間とどまり、住んだことがあるだけの異郷です。

しかし、今生で出会う全ての人には、前世からの縁があると言います。

彼の地で出会った人々を、私は忘れません。

そのような運命の出会いに対する信頼と知遇は、悲しみで胸がつぶれそうな今の私に、いささかの安寧を与えています。

(了)

(文・白簡/翻訳編集・鳥飼聡)

関連記事
中国には、「一日の始まりに必要な7つのものがあり、それは、薪、米、油、塩、たれ、酢、お茶である」ということわざがあります。お茶は中国の文化の一部としてなくてはならないもので、客人にふるまったり、食後にたしなんだり、その長い歴史の中で育まれてきました。
アメリカの感謝祭では七面鳥とクランベリーソース、クリームがたっぷり入ったパンプキンパイが食卓に並ぶ。えっ? 熊の掌(てのひら)とナマコも?いやいや、それは全く別の晩餐だ。その前に、感謝祭についてちょっと一言。
仏に対抗しようとした調達が、暗殺未遂や陰謀を重ねた末、地獄に堕ちるまでの報いの物語。
釈迦牟尼佛が父王の死に際し、人生の無常や執着を超える道について語り、難陀に出家を促すまでの感動的な物語。
香港で唯一の「レゴ認定プロビルダー」の洪子健さんのチームは最近、長さ26メートル、幅1.78メートルの中国絵画の至宝「清明上河図」を再現し、ギネス記録に認定した。