台湾には、国民の10%ほどの「素食者(ベジタリアン)」がいます。
彼らは通常、肉や魚などの動物性食品を食べません。菜食主義をとる理由は人それぞれで、宗教の教義や個人の信仰からくる場合もあれば、健康や美容への志向が比較的つよいため菜食を実践している人もいます。
また、その菜食の程度にも個人差があり、動物性食品である卵や乳製品さらにはハチミツさえも全く口にしない完全菜食主義者(ヴィーガン)から、卵(無精卵)や乳製品は許容される菜食者まで、幅広く存在します。
さて日本ではどうかと言うと、台湾ほどではありませんが、菜食中心の生活をしている人は一定の割合でいます。主として自身の健康維持のために、できるだけ動物性食品を避けようとする準菜食主義者(フレキシタリアン)は約20%とも言われています。
もちろん、そうした食生活を選択している人も、三大栄養素の1つであるタンパク質は、不足することなく摂取しなければなりません。
そこで、動物性ではない食物のなかで、タンパク質が比較的豊富に含まれる食材にはどのようなものがあるでしょうか。
とくに菜食主義ではない人も、ぜひ以下の7種の食品をご記憶にとどめておいてください。いつか菜食の利点を、自身のライフスタイルに活用する際に、お役に立つと思います。
1、豆類
豆類は、タンパク質だけでなく、非常に栄養が豊富で、セレン、亜鉛、リン、カルシウム、カリウム、葉酸なども多く含まれています。
最も一般的に食べられている豆類には、大豆、インゲンマメ、ソラマメ、ライマメ、小豆、黒豆、セイヨウインゲン、緑豆、黒目豆などがあります。
また、一般的にナッツと呼ばれる製品に入れられているピーナッツ(落花生)は、木の実ではなく土中にできる豆ですので、世界中で消費されるピーナッツを含めると、人間は実に大量の豆類を食べていることになります。
豆類に含まれるタンパク質は、動物性タンパク質よりもコレステロールや脂肪の含有率が低いため、健康効果において肉類よりも優れていると言えます。
2、全粒穀物
穀類は、主成分である炭水化物のほかに、タンパク質や食物繊維も含まれています。
これらは、いずれも人間の栄養摂取に重要な役割を果たすものですが、精製されて胚乳だけになった精白穀物に比べて、全粒穀物には、はるかに豊富な栄養素が含まれています。
エンバク(オーツ麦)はタンパク質や食物繊維、β-グルカンの優良な供給源です。
特にエンバクを加工したオートミールには、各種のビタミンやミネラル、さらには抗酸化物質が豊富に含まれています。
また、エンバクを使った食事は、血糖値とコレステロール値を低下させます。エンバクのタンパク質は良質であるうえ、乾燥重量の11~17%を占めるほどで、他の穀物より豊富です。
3、麻の実(ヘンプシード)
これはもちろん、法的に所持が禁止されている大麻のことではありません。
麻の実は栄養価が高く、20種類のアミノ酸と9種類の必須アミノ酸を含んでおり、それらは良質なタンパク源になります。麻の実は、日本の七味唐辛子にも入っていますが、洋食のサラダに合わせたり、ペーストにしてソースのベースに使うこともできます。
4、チアシード(チアの種)
チアシードは、健康志向の人に向いた「タンパク質種子」です。
豊富な食物繊維のほか、オメガ3脂肪酸、亜鉛、ビタミンB類、カリウム、カルシウム、マンガン、マグネシウム、リンを含みます。
メキシコのマヤ文明やアステカ文明の重要な食物であるチアの種には、タンパク質のほかにも、老化やがんなどを引き起こすフリーラジカルに対抗する抗酸化物質が大量に含まれています。
また炭水化物が少ないチアシードは、カロリー摂取量を制限する必要のある人にとって有用な食材になります。
5、エンドウ豆
上記の豆類とは別に、エンドウ豆とその関連する食材をここに挙げます。
エンドウ豆の若い実がグリーンピース。さらに、野菜として莢(さや)も食用にするのがサヤエンドウやスナップエンドウです。
エンドウを原料とするプロテインパウダーは消化しやすいため、他のプロテインパウダーのように、筋肉けいれん、胃部不快感、腹部膨満などの影響が出ません。
ハードな筋力トレーニングを行うボディビルダーは、筋肉の発達を促す理想的な選択肢として、エンドウ豆のプロテインパウダーを使っています。これはベジタリアンにとっても、動物性タンパク質の代替品として有効です。
6、ナッツ類
ナッツ類は、そのまま食べても、エネルギー補給のナッツ棒にしても、ナッツの粉末をドリンクに混ぜても、ナッツソースとしてサラダの野菜にかけても、良質のタンパク質が摂取できます。
ナッツ類には、タンパク質以外にも、チアミン、ビタミンB6、鉄、マンガン、マグネシウム、リン、カリウム、亜鉛、リボフラビン、ビタミンE、カルシウムなど、体に不可欠な各種のビタミンやミネラルが含まれています。
7、果物と野菜
私たちが日常的に食べている果物や野菜にも(もちろん肉ほどではありませんが)実はタンパク質が含まれているのです。
ブラックベリー、アンズ、ネクタリン、ラズベリー、オレンジ、パイナップル、サクランボ、バナナ、リンゴなど、日常よく食べられる果物にもタンパク質はあります。
野菜のなかで特に優れているのはケールです。そのほか、ビート、ブロッコリー、カボチャ、芽キャベツ、ほうれん草、スイートコーン、パセリ、ルッコラ、アスパラガス、オクラなどにも、健康増進に役立つタンパク質が含まれています。
タンパク質のほかにも、果物や野菜にはさまざまな栄養素が含まれています。多くの健康アドバイザーが「虹の7色の食物をとるように」と提唱しているのは、うなずけることです。
最後に、こう申しましょう。
あなたが菜食主義者であるかないかに関わらず、タンパク質を十分に摂ることは人間の健康維持に欠かせません。そうは言うものの、適量を超えて肉を食べることは、まさに健康の観点から薦められないのです。
そこで、上記のような植物性のタンパク源を上手に活用してください。毎日の食生活が豊かで楽しく、さらに健康的になることでしょう。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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