米国ではフェニックスの花が咲く卒業シーズン。各大学の卒業式は1年のうちで最も盛大なイベントです。多くの大学では社会で功績のあった人物を招き、これから社会に出ていく卒業生に祝福のエールを送ります。
5月12日、リンクトインの共同創業者リード・ホフマン氏は、ヴァンダービルト大学の卒業式で基調演説を行い、2022年度の卒業生に、これまでのキャリアを通じて学んだ重要な教訓を語りました。
ホフマン氏は、PayPalの最高執行責任者を務めた後、2002年に元同僚2人とソーシャルメディアサイト「リンクトイン」を共同設立し、現在54歳です。同サイトによると、ホフマン氏のリビングルームから始まったこのプラットフォームは、現在200以上の国と地域に8億3千万人以上のユーザーを持っています。
ホフマン氏は、友人たちの存在なくしては、これほど大きな成功を収める事は出来なかったと語りました。
「友人と親密な関係を築き、それを維持することは、おそらく人生で最も重要です。確かに人脈は大切ですが、それ以上に、自分がどれだけ幸せを感じ、どれだけつながっているか、どれだけ有意義に感じているか、その中心にあるのは絶対に友達なのです」
ホフマン氏は、友人から学んだ4つの「貴重な」人生教訓を学生たちに話しました。
他人の視点を大切にする
ホフマン氏は、大学時代にできた有色人種の女性の友人を通じて、自分が女性について何も知らないことに気づいたと述べました。
「知りあってしばらく経ったある日、彼女が今まで聞いた中で一番優しい言葉をかけてくれました。彼女は、『リード、あなたは人類の半分のことを何も知らないようね』。半分というのは、女性のことです。なぜなら、多くの若者と同じように、女性に対する理解がほぼゼロの状態で大学に進学したからです。そして、私のことを気にかけて、私にはその分野の助けが必要だと教えてくれる人は誰もいなかったのです」
そして、ホフマン氏は友人に誘われ、彼女の女友達と遊ぶことで、さまざまな背景を持つ女性たちの経験を直接学ぶことができたのです。
知らない大切なことがあるとき、本当の友は教えてくれます。
目標を達成するために
ホフマン氏は、大学を卒業するとき多くの卒業生と同じように「自分は何のために生きているのか?」という問いに直面したと言います。
オックスフォード大学で哲学を学べば、その答えが見つかるかもしれないと思いましたが、彼はあまり納得がいきませんでした。幸いなことに、親友が、自分で正しい道を見つける手助けをしてくれました。
「私が悩んでいるのを見て、彼はとてもシンプルな質問をしました。しかし、それは私の人生を大きく変えました。『君は社会の良い価値観を広く回復させたいんだろう?でも、なぜ哲学しかないと思うんだい?私なら、もし学問が目的を達成するのに役立たないのであれば別の道を進むよ。どうしたらいいか分からない時、ただ座っているのではなく、何かやってみたらどうだい?』」
ホフマン氏は、友人たちの「支えと励まし」がなければ、自分の生きがいを見つけることはできなかったと言いました。「見えない」ものが「見える」よう助けてくれる、それが仲間です。
ミスター・ナイスガイに「ノー」を突きつける
私たちはしばしば、何らかの形で承認や支持を求めます。自分のやっていることを応援してくれる友人がいるのはいいことです。しかし、たとえあなたが傷つくかもしれないことでも、あなたに本心を言ってくれる友達がいることはもっと大切だとホフマン氏は述べました。
「真の友人は、あなたが聞きたいことではなく、あなたが聞くべきことを教えてくれる」と、卒業生に語りました。
2002年にebayがPayPalを買収した後、手頃な価格のソーシャルプラットフォーム(現在のリンクトイン)を作る予定だったにもかかわらず、ホフマン氏はシリコンバレーに飽きてしまい、1年間休みを取りたいと言いました。しかし、ある友人から「休暇を返上して、自分のアイデアを実現させよう」と促されました。
友達を助けることは自分を助けること
ホフマン氏が学んだ最も重要な教訓は、「あなたの友人は、あなたに助けてもらうことによって、あなたを最大限に助けてくれる」ということだそうです。
「私を信頼し、私が彼らを助けることを許してくれた友人がいることは、私の人生において、何よりも大きな喜びです」
ホフマン氏は、人生の困難な時期にいる友人を助け、その後に感じた感謝の気持ちを覚えています。
「彼は私を完全に信頼しなければならなかったし、それは私にとって大きな贈り物でした。そうすることで、私がとても信頼できる人間であること、私には価値があるということを教えてくれたのです。あの感覚は忘れられません。これはあなたの友達があなたを最も助けてくれたことの現れです。皆さんにも同じ感覚を味わってほしいです」
(翻訳・金水静)
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