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赤ワインを一緒に飲むのは控えましょう
地中海式ダイエットの特徴のひとつは、赤ワインを少量だけ飲むことです。赤ワインの健康効果は、赤ワインに含まれるポリフェノールの一種であるレスベラトロールとの関連が指摘されています。
しかし、地中海式ダイエットを推進する学者たちは、必ずしもアルコール成分があるからワインを飲むようにと勧めているわけではありません。
台湾の林新病院・脳卒中センター長で神経科医の林志豪氏は、赤ワインやその他のアルコール飲料には反対しています。アルコールが体にあまり良くないこと、睡眠の質を低下させるというデメリットがあることを指摘しています。
お酒を飲み過ぎると、脂肪肝になったり、脳にダメージを与えたりします。アルコールは、脳の記憶や空間学習能力に関わる脳の機関である海馬の縮小を引き起こすことが研究で明らかにされています。
2020年には、全世界の新たながん患者のうち74万人以上がアルコール摂取に起因するとされ、そのうち約10万人が軽・中程度のアルコール摂取に起因するとされています。
では、少量であれば良いのでしょうか? 国際的なトップ医学雑誌である『ランセット』誌がこう答えています。1990年から2016年までの195カ国におけるアルコール消費と健康への影響に関するシステマティックレビュー(系統的レビュー)で、アルコールの安全な摂取量はゼロであることが判明しました。
李佳蕙氏は、そもそも酒を飲まなくていい人は飲まない方がいいと答えました。また、ビーフシチューの赤ワイン煮のように、食材にワインを加えて一緒に煮込む方法もあります。ただし、調理によってアルコールの蒸発を促すことはできますが、2時間半など長時間調理しても、5%程度のアルコールが残ってしまうので注意が必要です。
赤ワインに含まれるレスベラトロールを補充し、アルコールを避けるには、皮が濃い紫色や赤色のブドウ、もしくはブルーベリーを食べるか、果汁ブドウジュースを飲むとよいでしょう。
果物は食後に食べましょう
さっぱりした味の果物はカロリーが低いと勘違いして、平気で食べてしまう人が多いのですが、果物の摂取量は特に注意することが重要だと李嘉嬌は警告しています。
甘いものや飲み物をほとんど食べないのに、果物や果糖の過剰摂取により、高血中コレステロール、脂肪肝、ダイエット失敗などの悩みを抱える人が後を絶ちません。
疫学的研究により、果糖の大量摂取は、肥満、非アルコール性脂肪肝疾患、2型糖尿病、慢性腎臓病、心血管疾患および認知機能低下の独立した危険因子であることが示されています。
また、果物は食後に食べ、フルーツジュースは避けた方がよいでしょう。食後に果物を食べることで、小腸の果糖代謝能力が活性化し、肝臓を保護する効果があるという研究結果もあるようですが、果物の食べ過ぎ(果糖の大量摂取)やフルーツジュースの飲み過ぎ(腸内で果糖が早く放出される)は、やはり脂肪肝の原因となることが研究で強調されています。
タンパク質は白身の肉から摂りましょう
赤身の肉(牛肉、豚肉など)よりも白身の肉(鶏肉、鴨肉など)の方が好ましく、赤身の肉の摂取は週に2回までとしましょう。
植物性タンパク質、動物性タンパク質ともに、高温での調理は避けてください。魚を揚げたり焼いたりするのが好きな人は多いと思いますが、これでは魚油の効能が損なわれ、腐ってしまうことさえあります。肉のタンパク質は高温で変性しやすく、豆類も高温で加工すると発がん性物質が発生する疑いがあると言われています。
でんぷんの摂りすぎに注意しましょう
主食として、玄米、胚芽米、大麦、オート麦、ライ麦、そば、キヌア、小麦、大麦、雑穀などの全粒穀物や穀類が身近な穀物として挙げられます。
これらの穀物は、体に必要なさまざまな栄養素とでんぷんを供給します。でんぷんは体のエネルギー源になりますが、摂り過ぎると高血糖や高血中コレステロールの原因となります。しかし、野菜のように見えて実は全粒粉という食材も多く、誤ってでんぷんを摂りすぎてしまうことがあります。
例:とうもろこし、里芋、かぼちゃ、山芋、レンコン、根茎、落花生、芋、小豆、インゲン、空豆、金時豆、栗、など。
また、玄米などの全粒粉にはリンが多く含まれており、慢性腎臓病でリンを制限する必要がある人は、摂取量にやや注意が必要です。幸いなことに、植物性食品に含まれるリンは体内で40%から60%しか吸収されないという研究結果が出ています。
(翻訳編集:香原咲)
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