イランとサウジアラビアは10日、双方の安全保障関係高官が北京で会談し、外交関係の再開で合意した。写真はイランの国旗。ウィーンの国際原子力機関(IAEA)本部で2021年3月撮影(2023年 ロイター/Lisi Niesner)

イランとサウジ、外交関係再開で合意 中国が仲介

[ドバイ/ワシントン 10日 ロイター] – イランとサウジアラビアは10日、双方の安全保障関係高官が北京で会談し、外交関係の再開で合意した。

イラン、サウジ、中国が発表した声明によると、イランとサウジは外交関係を再開し、2カ月以内に大使館を再開させることで合意。国家主権の尊重と内政不干渉が強調されているという。

また、2001年に締結した安全保障協力合意のほか、通商・経済・投資に関する合意の始動でも合意した。

中国外交担当トップ、王毅氏は、今回の合意について対話と平和の勝利とし、中国は世界の困難な問題に対応するために建設的な役割を果たし続けると述べた。

米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は10日、サウジからイランとの外交再開に向けた協議について報告を受けていたが、米国は直接関与していなかったと指摘。今回の合意はイラクやオマーンで行われた協議を含む数回の協議の結果との見方を示し、米国はイエメン内戦やイラン侵略の終結に向けたこの過程を支持し続けてきたと述べた。

また、ホワイトハウスは、イランなどからの攻撃に対するサウジの効果的な抑止を含む内外の圧力が最終的にイランを協議の場に着かせたと考えているとした。

イランは中東を代表するイスラム教シーア派国家でサウジはイスラム教スンニ派の大国。両国関係は、サウジによるシーア派聖職者の処刑を巡り緊張、2016年にテヘランのサウジ大使館が襲撃されたことを受けサウジがイランと断交した。

合意に署名したイランのアリ・シャムハニ氏は、中国の仲介を称賛した。またサウジとイランは21年と22年に協議を主宰したイラクとオマーンにも謝意を示した。

イランのアブドラヒアン外相は、サウジ・イランの関係正常化は両国および中東に大きな展望をもたらすと指摘。ツイッターで「イラン政府の外交政策の重要な軸である近隣国に対する政策は、正しい方向に力強く進行しており、外交組織はより地域的な段階への準備を積極的に進めている」と述べた。

イラン高官は、サウジとの緊張関係に対する対応はここ数カ月でイラン政府にとって最優先事項となっていたと言及。これによりイランの核開発計画を巡る協議の解決につながるとし、「イランと核合意に達するよう西側諸国に促すことになる」とした。

また、イランの安保当局者はロイターに、サウジとの国交回復は、最高指導者、ハメネイ師の承認を得ていると述べた。

オマーンのバドル・アル・ブサイディ外相はツイッターで、サウジとイランの国交再開は「誰にとっても『ウィンウィン(相互利益)』であり、地域と世界の安全保障に恩恵をもたらす」と述べた。

関連記事
12月20日、米国務省の外交団がシリアに到着した。バッシャール・アサド政権崩壊後、ワシントン高官がダマスカスを公式訪問するのは初めてとなる。
10年前、中共は「中国製造2025」計画を掲げハイテク製造業強国を目指した。しかし現在、中共は知的財産権侵害や不公正競争の指摘を受けている。EVや高速鉄道で進展も、核心的な技術は不十分だ。
英国のフィリップソン教育相は、中国による高等教育機関への影響について警戒を呼びかけている。庶民院での議論では、中国が公的機関や企業、大学にまで浸透している実態が指摘された。
12月16日、英豪閣僚級会議がロンドンで開催され、中共のスパイ浸透対策が主要議題となった。英国外相は中共スパイの楊騰波の入国拒否を支持し、豪州外相は複雑な国際情勢を指摘。英国の外国影響力登録制度の施行は延期され、中共の指定級が注目されている。
インド政府は、中国からの安価な鉄鋼輸入を抑えるため、最大25%の関税(セーフガード)の導入を検討している。この […]