2019年5月22日、中国浙江省杭州市にあるハイクビジョン本社 (STR/AFP via Getty Images)

英スーパー最大手テスコ、中国ハイクビジョン排除へ「人権侵害容認できない」

英スーパー最大手のテスコは16日、中国製の監視カメラが深刻なセキュリティリスクと倫理的リスクをもたらすと指摘する人権団体の警告を受け、店舗から中国企業ハイクビジョンダーファの監視カメラを撤去すると発表した。

「香港ウォッチ」や「ストップ・ウイグル・ジェノサイド」など英国の4つの人権団体は2月、テスコに宛てた書簡の中でハイクビジョンとダーファの監視カメラは「中国国家とのつながりやセキュリティ上の欠陥がある」と指摘。「英国企業は、危険で、非倫理的で、権利を侵害する技術に投資しないことが極めて重要」だとして、両社の監視カメラを店舗から撤去するよう求めていた。

英スーパー最大手のテスコ。2017年1月27日撮影 (Daniel Leal-Olivas /AFP via Getty Images)

これに対してテスコは16日付の書簡で「当社は倫理的な調達と人権に強くコミットしている。我々のサプライチェーンにいかなる形態の人権侵害も容認しない」と述べ段階的にハイクビジョンとダーファの監視カメラを撤去する方針だと明かした。

また「従業員とお客様の安全を確保することは、雇用主としての第一の責任」だとし、直ちに新しい機器へ移行する行動を起こしたとも付け加えた。

世界で進む中国監視カメラ排除

中国共産党の支配下にあるハイクビジョンダーファは、ウイグル人やカザフ人の人権侵害に関与しているとして、2019年に米政府から貿易ブラックリストに載せられた。

中国に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)の2019年の報告書は、ハイクビジョンは新疆で大量の個人データを集約・分析するシステムの「構築、運用、継続的な維持に直接関与していた」と指摘している。

英政府も昨年11月、国家安全保障上の脅威を理由にハイクビジョンなどの中国製監視カメラの設置を機密性の高い場所では中止するよう、各政府部門に命じた。政策監督を担う高官のオリバー・ダウデン氏は中国の「国家情報法」のもと当局にデータを提供することが義務付けられている企業の監視カメラを「英政府の中核ネットワークに接続すべきではない」と述べた。

豪州も2月、ハイクビジョンとダーファの製品を国防施設から排除する方針を示した。

ハイクビジョンは国内のデモ隊や法輪功学習者を追跡し中国の警察に「アラーム」を送る警報システムを備えていることが、監視カメラ情報会社IPVMが1月に発表した報告書により明らかになっている。

IPVMの政府研究部長コナー・ヒーリー氏は中国当局にカスタムデザインの監視システムを提供する両社は、中国の人権侵害への「直接的な責任がある」とエポックタイムズの取材に答えた。

エポックタイムズはハイクビジョンとダーファにコメントを求めたが、本記事掲載までに返答は得られていない。

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