フライトが遅れる9つの奇妙な理由

航空機は通常、決まったスケジュールに従って飛行しますが、故障や悪天候、事故などの一般的な理由で遅延や欠航することがあります。もちろん、もっと特殊な理由もあります。以下は、人々が聞いたことがあるかもしれない最も奇妙な理由の9つを紹介します。

1.ファーストクラスの乗客がパジャマに不満

2012年、カンタス航空のロサンゼルス便が離陸を控えていたとき、ファーストクラスに搭乗していたオーストラリア人カップルが、客室乗務員が提供したパジャマに不満を持っていました。

彼らはXLサイズのパジャマを希望していましたが、当時のファーストクラスには用意されていませんでした。客室乗務員はビジネスクラスのXLパジャマに変更することを提案しましたが、彼らは拒否しました。自分たちはファーストクラスの乗客なのだから、ファーストクラスの製品を使うべきだと主張したのです。

その後、彼らは飛行機から降りることを選択し、この出来事のためにフライトは30分遅れました。400人以上の乗客を乗せたエアバスA380は、最終的に目的地のオーストラリア・メルボルンに無事到着しました。

2.肥料運搬車が飛行機に衝突する

通常、航空機のトイレの排泄物は、専門の肥料運搬車で処理されるため、我々が目にすることはほとんどありません。しかし2019年、アメリカ・ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港で、肥料運搬車が誤ってジェットブルー航空のA321型機に衝突したことで、その存在が明るみに出ました。

この航空機は、コロラド州デンバーへのフライトを予定していました。肥料運搬車が航空機の胴体にぶつかったため、フライトは遅れ、乗客は別の航空機に移されました。

 離陸前の機内の様子。ペイレスイメージズ1(モデル) / PIXTA

3.イグアナが逃げ出す

ペットを持ち込んで飛行機に乗る人は珍しくありませんが、必要に応じてきちんと申告する必要があります。2016年、キューバからカナダのトロントに向かうウエストジェット航空のフライトで、4匹のイグアナをスーツケースに入れて密輸した男性がいました。

トロントに到着後、男性のイグアナは税関に押収されましたが、2匹だけが見つかり、残りの2匹は機内のどこかに逃げ込んだ可能性がありました。しかし、その飛行機はすでにバンクーバーへのフライトの準備ができていました。安全上の理由から、航空会社は乗客全員を別の航空機に移し、イグアナを追い出すために機体を燻煙しました。

この事件により、50分の遅れが発生しました。同社は何人の乗客が影響を受けたかについては明らかにしませんでしたが、広報担当のローレン・スチュワートさんは、これまでに聞いたことのない事件であると述べました。

4.子猫を探す

2012年、ハリファックスからトロントへ飛ぶ予定だったエア・カナダ便で起きた、またしてもペットが原因の遅延です。

しかしこの時は、合法的に申告・審査された子猫でした。飼い主は子猫をペット用のケージに入れ、搭乗後に頭上の収納スペースに置きました。しかし、乗客がスーツケースを収納する際に誤ってケージの扉を開けてしまい、猫が逃げ出し、乗務員は隠れている子猫を探し出すことになりました。最終的には、コックピットのアビオニクス機器の中で発見されました。

子猫が逃げ出したため、離陸前に機体に損傷がないかを確認する必要がありました。 子猫を探す時間を加えると、最大で4時間の遅延となってしまいました。

飛行機のコックピットの図(KAZE / PIXTA)

5.機内での出産

2016年、アラブ首長国連邦のドバイからフィリピンのマニラへ向かうセブパシフィック航空の機内で、妊娠中の女性が予定日の2カ月前に女の子を出産しました。偶然にも機内には2人の看護師がおり、出産を手伝ってくれたほか、他の乗客が持っていたベビー服を提供してくれました。

その後、飛行機はインドに着陸し、母子は診察のために病院に運ばれました。フライトは大幅に遅れましたが、他の乗客たちはこの稀な出来事に出くわしたことを喜びました。

6.飛行機内のネズミ

2017年、ブリティッシュ・エアウェイズの飛行機でネズミが発見され、乗客200人が別の飛行機に移されました。これは衛生上の理由ではなく、ネズミが電気ケーブルを噛み切った可能性があるため、安全上の問題として移動が必要となりました。

このため、4時間以上の遅延が発生しました。

トイレットペーパーの図(annchan / PIXTA)

7.トイレットペーパーが足りない

ネズミ事件の直後の2017年、ブリティッシュ・エアウェイズはまたもや奇妙な遅延を経験しました。 今度は機内のトイレにトイレットペーパーが足りなかったというのが理由でした。

イギリスからバルバドスへ向かう定期便は、トイレットペーパー不足のため遅延し、更に乗務員の労働時間が上限を超えたため、別の乗務員に交代する必要があり、フライトは約5時間遅れました。

8.マッサージが気持ちよすぎた

ジャーナリストのマルス・エル・ブロージーさんは、2013年にフィリピン航空のマニラからボホール島へのフライトで、2人の乗客が搭乗しなかったため、フライトが30分遅れたと語っています。

実は、2人は空港でマッサージに興じていたらしく、気持ちが良すぎて寝込んでしまったとのこと。飛行機に乗り込んだ2人に、他の乗客からは拍手やブーイングが送られたといいます。

9.邪魔なアザラシ

2017年10月、米国アラスカ州のウィリー・ポスト・ウィル・ロジャース記念空港で、予期せぬ訪問者の登場により、複数の飛行機の離陸に遅れが生じました。

その訪問者とは、体重が450ポンド(約204kg)もある大型アザラシでした。空港に近い海岸から1マイル(約1.6km)を這いずって移動し、滑走路にまで侵入してしまったのです。空港は動物管理官の協力を得て、最終的にはソリを使って滑走路からアザラシを引きずり出しました。