5月18日、日米両政府は、広島市で首脳会談を行い、翌日から始まる主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)に向けて意見をすり合わせた。広島で撮影(2023年 ロイター/Jonathan Ernst)

日米首脳、G7サミットへ協力深化 「核なき世界」へ連携

広島市 18日 ロイター] – 岸田文雄首相は18日、バイデン米大統領と広島市内で会談し、19日から始まる主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)に向けて日米間の緊密な連携を確認した。安全保障や経済にとどまらない協力関係の深化について申し合わせるとともに、インド太平洋や東アジアなど地域情勢について率直に意見交換。首相は「重層的な日米関係を確認する機会になった」と評価した。G7で核兵器のない世界に向けたメッセージの発出で連携することでも一致したという。

岸田首相は同日夜、記者団の取材に応じ、G7サミットでは議長として地域情勢や地球規模課題に関する議論をリードしていく強い決意をもって臨むと表明。G7として「核兵器のない世界」への決意を改めて確認するとともに、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化することへの強い意志を世界に示したいと語った。

バイデン大統領との首脳会談は午後6時から約1時間10分行われた。両首脳は地域の経済秩序に対して米国の関与が一段と重要になっているとの認識を共有。また、経済版2プラス2において経済安全保障の協力を具体化させることで一致した。

地域情勢については中国を巡る諸課題に引き続き日米で緊密に連携していくことで一致。両首脳は台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促した。

バイデン大統領は日韓関係の改善を歓迎すると発言。両首脳は、北朝鮮について抑止力強化や安保理で緊密に連携していくことで一致した。

ロシアによるウクライナ侵略については同志国と緊密に連携をしながら、厳しい対ロ制裁と強力なウクライナ支援の継続を申し合わせた。新興国や途上国、いわゆる「グローバルサービス」への関与・支援の重要性を確認した。

今回の会談は、G7サミットに向けて首脳間で意見をすりあわせる狙いもあった。

岸田首相は会談の冒頭、日米同盟はインド太平洋地域の平和と安定の礎だと指摘。日米関係は、あらゆる分野で重層的かつ強固な協力関係にあるとし、広島サミットでは「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守っていくというG7の揺るぎない意志を示したい」と強調した。

バイデン米大統領は日米で共通する価値観のために立ち上がり、「ロシアに対してウクライナ侵攻に対する責任を問うていく」と述べた。「グローバルな課題にも取り組み、核不拡散や自由で開かれたインド太平洋の保障にも、これも中枢としてコミットしていく」とも語った。

岸田首相はまた、東京都心にディープテック特化型の研究機能とスタートアップ機能を兼ね備えた施設「グローバル・スタートアップ・キャンパス」を創設すべく、マサチューセッツ工科大学と共同で検討を始めていると語った。

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