フィリピン海で航行中の米軍空母艦隊 (Photo by Specialist 3rd Class Jake Greenberg/U.S. Navy via Getty Images)

中国出身の米海軍兵の母、息子にスパイ勧める「将来中国で良い職に就ける」

米海軍兵2人が中国に米国の軍事機密を漏えいさせた事件で、逮捕・起訴された一人の海軍兵の母親は、将来的に中国の政府機関に就職できるとの期待から、中国の情報機関と協力するよう息子に勧めていたことが分かった。米国の検察当局が8日の法廷審問で明らかにした。

米司法省は3日、中国の情報機関要員に軍事機密を提供した見返りに賄賂を受け取っていたとして、スパイ防止法違反の疑いで米海軍兵2人を逮捕・起訴したと発表した。

米検察当局によると、逮捕・起訴された海軍兵の1人、ジンチャオ・ウェイ被告は中国出身で現在米国籍を取得している。昨年2月に米国市民権の申請中、中国の情報員から接触を受けたという。

ウェイ被告は、22年2月から23年にかけて強襲揚陸艦「エセックス」や他の強襲揚陸艦の兵器システムや航空機などに関する機密情報を中国の情報員に流し、数千ドル以上の報酬を受け取っていたとされる。

8日に米カリフォルニア州サンディエゴの連邦裁判所で保釈の可否を巡る審問が行われた。フレッド・シェパード連邦検事補によれば、ウェイ被告がウィスコンシン州に住む母親に会いにクリスマスに帰省した際、米海軍を退役した後に「中国の政府機関に就職できるかもしれない」と、母親は息子に中国の情報員との協力を奨励した。被告の母親の名前は、明らかにされていない。

またシェパード氏によると、中国当局者が直接面会するため、中国の情報員がウェイ被告と母親を中国までの渡航を手伝っており、被告は今春中国行きの航空券をオンラインで検索していた。

そのほか、中国の情報員はウェイ被告に対し、中国に情報を流すためにパソコンと携帯を購入するよう指示し、領収書が提出されれば中国当局が支払い分を補填すると伝えていたという。

シェパード氏はウェイ被告の保釈に反対した。保釈は認められず、引き続き拘留するとの判決が下された。有罪となった場合、終身刑が科される可能性がある。

別の海軍兵、ウェンヘン・チャオ被告については、司法省によると、西部カリフォルニア州の海軍基地勤務し、2021年8月から23年5月ごろにかけて米軍の演習計画や、沖縄の米軍基地に設置されたレーダーシステムの設計図を含む情報や写真、映像を中国の情報員に渡し、約1万5000ドルの報酬を受け取っていたという。

8日、カリフォルニア州ロサンゼルスの連邦裁判所でチャオ被告の保釈請求も却下された。

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