目に見えない電磁界(電磁波)の危険性 (パート2)

「マイクロ波症候群」の不気味な増加(下)

シリーズ「目に見えない電磁界(電磁波)の危険性」では、一般的な家電製品から5Gに至るまで、あらゆる場所に潜む電磁界・電磁波の影響と、脳と身体への影響について詳しく見ていきます。

マイクロ波症候群の被害者、従来の想定より多い?

さまざまな国の人口ベースの調査によると、国際的には人口の1.5〜13.3%に電磁波過敏症の影響が出ていると推定されています。

しかし、電磁波の害に関する公教育の提唱者であるセシリア・ドゥセット氏は、過敏症の実際の患者数は予想よりも多いと、エポックタイムズに語りました。

環境毒性学の博士号を持ち、電磁放射線の健康への影響を専門とするトレント大学名誉教授マグダ・ハバス女史は、無線機器やスマート家電の急速な普及により、身の回りにある電磁波への曝露が大幅に増加し、それに関連する潜在的なリスクが増大しているとエポックタイムズに語りました。

マイクロ波症候群の症状のほとんどは非常に漠然とした、ありふれたものであるため、多くの人は無線機器から発せられる電磁波への感度があっても単に気づいていないだけだ、と彼女は付け加えました。

「電磁生物学と医学(Electromagnetic Biology and Medicine)」誌の編集者に宛てて書かれた2009年のあるレターは、1985年にはスウェーデンでは電磁波過敏症を抱える人は人口のわずか0.06%だったことを強調しました。しかし、この数字は2003年には9%に上昇し、2017年までに人口の約50%になると推定されました。

435,000人以上の英国居住者を観察した2019年の報告書では、電磁波過敏症の罹患率に関する最新の推定値が示されています。著者は、人口の5〜30%が軽度の、1.5〜 3%が中等度の、そして1.5%未満が重度の過敏症に罹患していると推定しています。

ハバス女史によると、アナログ計器からスマートデジタル計器への切り替えに伴い過敏症も増加しているほか、学校内のWi-Fiが子供たちの症例への懸念を高めているといいます。

また彼女は、「ここ最近、5Gの小型基地局が建設されるにつれて、自宅で体調を崩す人が増えていると聞きました」と話しました。

さらにハバス女史は、スウェーデンの医師らが1月に発表した、アパートの4Gアンテナを5Gアンテナに交換した後に被験者が症状を感じ始めたことを明らかにした事例研究を指摘しました。

「5Gアンテナの使用により、暴露レベルははるかに高くなり、症例数と重症度はいずれも劇的に増加しました」と彼女は話します。

マイクロ波症候群の重症度は人によって異なります。一定レベルの電磁界への曝露に耐えられる人もいれば、重篤な副作用を経験して、無線を発しない電子機器すら使用できなくなる人もいます。

マイクロ波症候群になるのはどういう人?

子供と女性は男性よりも電磁波過敏症を発症しやすいことが、研究によって示されています。

慢性疲労や多発性化学物質過敏症などの慢性疾患を患っている人、または過去に怪我や外傷を負っている人も、リスクが高くなります。過去の怪我や外傷には、物理的な事故のほか、カビ、化学物質、電磁界などの環境毒素への激しい曝露も含まれます。

「これらの病気のいずれかに罹患している場合、他の病気に罹患する可能性がはるかに高くなります」とカーペンター博士は言います。

さらに、中枢神経系に何らかの損傷があると、放射線に対する感受性が高まります。ハバス女史によると、この種の損傷は、ライム病などの病気にかかっている人、特定の薬を服用している人、免疫系が低下している人に影響を与えるといいます。

また、「多発性硬化症、パーキンソン病、または何かしらの神経変性疾患を持つ人は、電磁波にさらされる環境では通常、他の人よりひどい症状を経験します。逆に、電磁的にクリーンな環境にいると、症状はある程度軽減されます」とも話します。 

電子レンジ過敏症を軽減するためのヒント

電磁波過敏症のある人の中には、部屋や家の外に出るのが難しいほど重症を経験する人もいます。しかし、ダラス環境保健センターの家庭医学専門家エリザベス・シーモア博士は、そんな人々を助ける治療の選択肢があるとエポックタイムズに語りました。

環境汚染物質を減らす

電磁界への曝露を防ぐための措置を講じることは、過敏症への対処における最初のステップです。このアプローチは症状を軽減し、体を休めるのに役立ちます。

一般的に推奨される方法をいくつかご紹介します。詳細については、今後のシリーズ記事で追ってご説明します。

1.就寝中はWi-Fiやスマートデバイスの電源を切るか、機内モードに切り替えてください。

2.インターネット接続には、Wi-Fiの代わりにイーサネットモデムなどの有線接続を使用してください。

3.清潔な生活環境を保ちます。電磁波過敏症は、カビ、化学物質過敏症、重金属の毒性などを引き金として発生したり、それらによって悪化したりする可能性があります。

4.電磁界測定器を使用してください。あなたが敏感に感じている周波数を特定できます。

健康状態を改善する

人によっては、体を正常な状態に戻すためにさらなる助けが必要な場合があります。以下は、全体的な健康状態の改善に役立つ取組みです。

1.過敏症を患い、かつカビ、化学物質、重金属の毒性が体に蓄積されている場合は、デトックス療法を受けてください。

2.シーモア博士は、ビタミンCとメラトニンを補給することを勧めています。これらの抗酸化物質は、電磁界が体内で引き起こす酸化を中和するのに役立ちます。

3.免疫システムのバランスを再調整することを目的とした治療を行います。

4.定期的に運動し、水分補給をしましょう。

5.清潔で健康的な食品を摂取して食生活を改善しましょう。

携帯電話基地局をめぐる論争と、なくならない健康問題

前編の冒頭でご紹介したジラルディさんの近所の住民も、近くに携帯電話基地局が設置されて以来、吐き気、不眠症頭痛に悩まされたといいます。

彼らはベライゾン社に基地局を移転させるべく立ち上がりましたが、法的手続きが進行中であるため、基地局は稼働を続けています。

その間、住民の症状は悪化しました。ジラルディさんの娘たちは、いつ嘔吐してもいいようにベッド脇にバケツを用意し、末っ子にも発疹がでたそうです。

「ある夜、一番下の娘が皮膚が這うような感じがすると言ったときのことを今でも覚えています」とジラルディさんは語りました。 

「彼女は私に自分の肌を見てほしいと言いましたが、何もありませんでした。二階に行って彼女のベッドとシーツをチェックしましたが、そこにも何もありませんでした」

2021年4月、家族は最終的に築100年の荒廃したコテージに避難しました。そこには生活に必要な設備が何もなく、害虫の問題もあったそうですが、娘たちは最初の夜、助けも要らずに安眠できたそうです。

「びっくりしました。これほどはっきりした改善が見られるとは」と彼女は語りました。

その後、ジラルディさんと娘たちがこのコテージに引っ越すと、以前の症状はすべて消えたといいます。

ニューヨークを拠点とするエポックタイムズ記者。主に新型コロナウイルス感染症や医療・健康に関する記事を担当している。メルボルン大学で生物医学の学士号を取得。