手術室の模様、参考写真(Jafaar Ashtiy/AFP/GettyImages)

「助けて」腎臓を抜き取られた女性 命がけの“遺言”…中国の医師が記録

米ニューヨーク拠点のNGO団体、法輪功迫害追跡調査国際組織(追査国際、WOIPFG)は中国における臓器の強制摘出に関する新たな文書を公表した。黒竜江省ハルビン市の軍病院で腎臓を摘出された法輪功学習者の女性の「遺言」や、彼女の遺体処理に携わった医師の証言を記録している。

元中国軍医でハーバード大学医学部にも研究員として席を置いたWOIPFG代表の汪志遠博士は、複数の有志者の協力を得て、この臓器摘出事件の証拠収集、整理、分析を2年以上かけて行なった。この結果、信頼性が高いものと判断して、今年7月17日、犠牲となった女性や医師の発言記録を公開した。

臓器摘出された女性 最期の言葉を録画

今回発表された文書は、黒竜江省ハルビン市の法輪功学習者、張秀琴さん(46歳、女性)の身に起きた出来事を中心に作成された。亡くなる直前の模様を映した映像と、それを撮影した中国の医師の証言を含む。

それによれば、張さんは90年代から法輪功を修煉しており、共産党政権による迫害政策開始以降は何度も連行や収監に遭っていた。18年の年末に再び拘束され酷い拷問を受け、19年4月28日、張さんは人民解放軍聯勤保障部隊第962病院(旧称:人民解放軍第211病院)感染症科でひとつの腎臓を摘出された。

生死の境の中で、張さんは自分の遺体処理を担当する医師の服をつかみ、助けを求めた。その医師は、張さんに服をつかまれたときのことをこう振り返る。

「私は驚いた。臓器を摘出されて手術台に横たわっている人が、まだ生きていたのだ。彼女は、腎臓を一つ摘出されていた」「手術の後も縫合されておらず、生きていることは不可能な状態だ。誰も彼女が生きているとは思わなかった。彼女は『助けて』とだけ言うと、再び昏睡状態に陥った」

使命感からか、医師は張さんを備品を保管する地下室に運び入れ、ブドウ糖や鎮痛剤などを注射し、傷口を縫合したという。しかし、容態は絶望的だった。しばらく様子をみていると、張さんは再び目を覚ました。

「もう助けることはできない」と医師が張さんに告げると、張さんは自分の最期の言葉をビデオで撮影するよう医師に頼んだ。自分の受けた境遇の全てを多くの人に知らせてほしい、力を貸してほしいと願ったという。

「そんなことはできない」と医師は拒んだ。沈黙したのち、張さんは自身が法輪功を学んでいること、共産党がどのように彼らを迫害し、収容所内の虐待や拷問によって多くの人々が苦しめられているかを語り始めた。最初は緊張と恐怖のあまりに話を聞いていることはできなかったが、張さんの強い願いに心を打たれ、医師は撮影の求めに応じた。

「彼女は善悪の報い、人類の未来、生命の意義、中国共産党からの脱退などについて語り、共産党による悪をおおやけにするよう望んだ。もし誰も邪悪に立ち向かう勇気がなければ、私たちの子孫はずっと抑圧され続ける、と彼女は話した」ーー医師は当時のことを振り返る。

その映像から書き出した張さんの「遺言」が、WOIPFGの文書に記されている。

あなたがこの映像を見る頃には、私はもう生きていないでしょう。私は法輪功の弟子で、中国共産党に迫害され、生きたまま臓器を摘出されて絶命するのです。

名前は張秀琴です。今朝ここに連れてこられ、片方の腎臓を強制的に摘出されました。ご覧の通り、まだ生きています。これこそ、悪の党が決して認めない臓器狩りです。

私とともに拘束された数十人は、次々と(どこかへ)連れて行かれ、行方が分からなくなっています。生きたまま臓器を奪われた法輪功学習者の数は、もう数え切れません。

このような邪悪で人間性のない犯罪は、一刻も早く暴露しましょう! 全ての罪がこれ以上つづかないように! 

罪もない人々が信仰のために虐待され、虐殺されることがないように! 私の死が、世界の人々の良心を目覚めさせることを願います!

次回の記事では、張秀琴さんや医師の証言から中国の移植病院による臓器狩りスキームを読み解いていく。

 

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