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不眠症の原因は沢山ありますが、心理的要因が筆頭!
睡眠障害のほとんどは心理的問題が原因で、不安、憂鬱、精神的ストレスが不眠症の原因になります。古人は「先に心を眠らせそれから目を眠らせる」と言います。つまり、まず心を静めてリラックスし、あまり考えすぎず、それから目を閉じれば、眠りにつきやすいのです。
また、不眠を引き起こす要因として、シフト勤務や長距離旅行があり、これらは体内時計を乱す可能性が大です。喫煙や、寝る前にカフェインを含むお茶や、コーヒーなどの刺激物を取ることも、眠りを浅くしてしまいます。
また、多尿、咳、睡眠時無呼吸、体の痛みなど、人の眠りを浅くする生理的要因もありますね。
その他、騒音、暑さ、寒さ、明るさ、蚊に刺されるなど、人の睡眠に影響する環境的要因もあります。
快眠のための毎日の食事療法
漢方医には多種多様な原因による睡眠障害を治療・調整するさまざまな方法があり、西洋医学よりも優位性があります。 以下は、薬や食事療法を用いるいくつかの方法です。
睡眠用逍遥散
(逍遥散(しょうようさん)は柴胡(さいこ)、薄荷(はっか)、芍薬(しゃくやく)、当帰(とうき)、白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、生姜(しょうが)、甘草(かんぞう)という生薬から構成された漢方薬)
緊張や不安でよく眠れない患者には逍遥散を、よく眠れずイライラする患者には加味逍遥散を服用してもらいます。すなわち、逍遥散に牡丹皮と山梔子を加えて加味快眠散になります。 寝つきの悪い患者には、加味逍遥散にさらに六味地黄丸を加えるとよいです。動悸や胸のつかえがある時は、加味逍遥散に天王補心丹を少し加えると効果的です。
夜尿を防ぎ、睡眠を落ち着かせる甘麦棗スープ
甘麦大棗湯は、ソースなどの甘味料である甘麦、パンの原料である小麦、ナツメの実である大棗の3つの生薬を合わせたもの。中国には古くから、気分を安定させ、安眠に導く「甘麦棗スープ」という睡眠薬膳があるのです。
浮小麦30g、棗4~5個、生甘草9gを使い、水800mlを加えて30分間煮出して飲みます。 寝る1時間半前に200mlを飲めば、寝る前に排尿でき、睡眠に影響することもありません。
粟酸棗仁(くりさんそうにん)のお粥
もう一つの方法は、粟と酸棗仁のお粥を飲みます。 粟100g、酸棗仁パウダー15g、蜂蜜30gを一緒に炊てお粥にして食べると、心が落ち着き、眠りやすくなります。
酸棗仁(サンソウニン)は以下の生薬を含みます。知母(チモ)、川芎(センキュウ)、茯苓(ブクリョウ)、甘草(カンゾウ)
睡眠の質を改善する、簡単にできる5つの自然療法
1.日光浴
朝、少なくとも30分間日光浴をすると、自律神経系を整え、脳の松果体を調整し、メラトニンの分泌機能を正すことができます。 夕方に1時間日光浴をするのも効果的です。
2.寝る前に足をお湯に浸す
現代の科学的研究により、人体の内臓の温度と手足の温度が近いほど睡眠がいいことが分かりました。人間の内臓の温度は手足の温度よりも高く、足をお湯に浸すことで内臓との温度差を縮めることができ、睡眠が良くなります。
足湯の温度は39~40℃くらいで、42度以上にしないでください。そうしないと交感神経が過敏になり、興奮して眠れなくなります。
3.お風呂に入る
お風呂に入ると、内臓の温度が少し上がり、入浴後は内臓の温度が普段の温度より下がり、内臓の温度と手足の温度の差が縮まり、眠りやすくなります。 また、入浴後は副交感神経が興奮し、リラックスした状態になり入眠しやすくなります。
お風呂の温度は足湯と同じで大体39~40℃です。入浴の目安は寝る1時間前で、15分ほど浸かるとよいです。 入浴後は少し水を飲み体をリラックスさせると、眠りにつきやすくなります。
4.就寝前のストレッチ
寝る前にストレッチをすることで、腱や筋肉をリラックスさせ、精神を安定させ、眠りにつきやすくします。 寝る前に筋肉が硬くなっていると、なかなか寝付けません。
5.オリジナル頚椎(けいつい:首の骨)セルフリハビリ法
慢性的な睡眠障害の人は、たいてい頸椎が非常に硬くなっていて、入眠に影響し、たとえ入眠できても浅く質の悪い睡眠になってしまいます。
私のオリジナル治療法ですが、頚椎調整は最も臨床効果が高いです。これまでの番組や文章で紹介してきた「頸椎セルフリハビリテーションメソッド」を参考に、この9つの動作を練習していただくと、睡眠にとても役立ちます。
以前、睡眠障害でメラトニンを飲んでもよく眠れないという70代の女性がいました。 他の漢方医を受診し多少は改善したものの、やはり睡眠には薬が必要でした。
彼女はたまたま私の以前の番組「頚椎セルフリハビリテーションメソッド」を見て、3日間続けたところ、薬なしでとてもよく眠れるようになりました。 その後、彼女は私のところに来て、さらに頚椎の治療を行い、すぐに睡眠障害は改善しました。
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