旅行詐欺に気をつけて 旅の達人も騙された初心者級のミス

海外旅行に行って、現地で詐欺に遭った事件は、よく報道されていますね。なにしろ旅行者は、外国での生活に慣れていない上、警戒心が足りないため、悪人にとっては思いのままになる易しいターゲットなのです。

 

そこで、ある旅行の達人が、どのように初歩的なミスを犯して詐欺の罠に落ちたか、自身の体験を紹介しました。彼女の苦い経験は、人々に注意を促す鍵となるでしょう。

 

英国のタブロイド紙「デイリー・エクスプレス」によると、ルシカ・ポーラ(Lucia Polla)さんはスペイン南部をよく知る「旅行の達人」です。その習熟ぶりは、地元の有名な観光地を紹介する観光ブログを作るほどでした。そんな彼女でも、ついつい警戒を怠って観光詐欺に遭ったことがあります。

 

彼女は「デイリー・エクスプレス」紙に、こう語りました。

 

スペイン南部アンダルシア州の州都であり芸術、文化、金融の中心地であるセビリア(Seville)を旅行したときのことです。彼女は、南スペインの太陽と景色を楽しみ、新しい観光の穴場を探すことに自信を持っていました。

 

ある地元の男性が、彼女に近づきました。

男は

「他では決して見られない、千載一遇のフラメンコショーがありますよ」

と言います。しかもこの秘密のショーは、人里離れた場所で見ることができるというのです。男は、手に持っていたショーの広告チラシを彼女に渡しました。

詐欺師の美しい世界にはご用心
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ポーラさんは男に

「スペインの正統なフラメンコショーを見たいと、かねてから思っていたのよ」

と話すと、この男は喜んで、彼女に

「そりゃあ素晴らしいショーです。絶対に見る価値がありますよ」

と言いました。

その上、男はずっと

「とても安いですから」

と付け加えたのです。

 

彼女はその時、よほどフラメンコに強く惹かれていたのでしょう。知らず知らずのうちにお金を出してしまいました。後で「なんて最悪なの!」と思うとは全く知らずに、そうしてしまったのです。

 

ショーの広告チラシを見ながらその場所に向かうと、ただの空っぽの通りでした。チラシを確認すると、なんと10年前の「2013年」と書いてあります。そこでポーラさんは「完全に騙された!」と分かったのです。

男は、合法的な公演だと信じ込ませるチラシや、金を払うよう言葉巧みに誘導する手口を使ったのでした。

 

彼女は、あの犯人の男がやった詐欺事件によって、誰もが怖がって海外に旅行しなくなるようではいけないと願っています。彼女の願いは、旅行する人々が警戒を維持し、危険を感知する自分の直感に耳を傾けることです。つまり、何か「聞こえの良い話」があるからといって、注意を怠ってはいけないのです。

 

ポーラさんはこう言って、注意を促します。

「旅行先では、詐欺によく遭遇する可能性があります。特に、私たちの常識を超えるほどの、美しく素晴らしい体験への興奮を与えてくれるようなときにこそ、それ(詐欺)に遭いやすいのです」

 

米連邦取引委員会(Federal Trade Commission)は、ルシカ・ポーラさんが経験したこの種の詐欺に加えて、偽の「無料キャンペーン」や旅行関係の書類、民宿、航空券に関する詐欺など、よくある詐欺の手口をウェブサイトに挙げています。もちろん、その「無料キャンペーン」は本当に無料というわけではありません。

 

同委員会は、旅行に関する詐欺を回避する3つの方法を提示しています。

 

(1)旅行契約の条件を知るまでは、書類に署名したり、支払いをしたりしない。

(2)旅行契約する相手を事前に調べてみること。旅行代理店、ホテル、タクシーなどのキーワードに「詐欺」「評価ランキング」「顧客クレーム」などのキーワードを組み合わせてネット検索すれば、相手の信用度を調べることができる。

(3)送金、ギフトカード(gift card)、暗号通貨などでの支払いは避ける。そうしないと、問題が発生したとき自身に損害が発生するだけでなく、相手を追跡できないため、お金が戻ってこなくなる。