医師が語る脳卒中予防のための食生活の鍵

脳卒中予防には、正しい食生活だけでは不十分!(1)

人々がメタボリックシンドロームの状態に長時間いることが原因で、脳卒中の発生年齢が若年化しています。
かつては、若年性の脳卒中患者には潜在的な危険因子がありましたが、最近は結論を下すことが非常に困難になっています。根本的には、食生活の乱れ、睡眠不足や生活ストレスなどの生理的な不均衡に加え、運動不足が原因で早期に発症しているのです。

もし、中医学健康法は、ただ適切な食生活を教えるだけで病気に罹らないようにすることだと思っているなら、それは大きな誤解です。食事の適度な制限が中医学の「食」に対する健康観であり、現在のライフスタイルにおける食生活の健康管理に類似しています。これはメタボリックシンドロームの予防に役立ち、脳卒中のリスクを減らすためには重要なことです。

脳卒中を回避するための食事方法

「食飲有節」という言葉がありますが、食事を適度に制限し、食ベ物の量、食材の物理的特性、季節性、および取得源に合わせることを指します。中医学では、季節外れの食べ物は食べないように勧めています。これは、各人が住む環境は気候、地理環境と密接に関連しており、地球の大気、重力、磁場の違いも、その地域に生息する有機体に影響を与えます。どのような気候や地域にあるかに応じて、その地域で栽培される農畜産物が変化し、その地域に住む人々に供給されます。それはその地区に住む人々が、持続可能な生活を送るための基盤となっているのです。

しかしながら、現代では、グローバル化された貿易や早い情報の流れの中で、食品の調達方法は、時間や空間の制限を超えています。輸送技術を利用して南北半球間で食材を交換し、農業技術を利用して東西半球の生産地を移動させ、寒帯や熱帯の食材や季節を問わない農産物が、手軽に手に入るようになりました。

「農業技術の発展や食材の輸送は、ある地域の食料供給不足の問題を解決するためのものではないのか」とあなたは思うでしょう。それは正しい質問です。地球資源を過剰に開発する人類の状況下では、最終的に争われるのは食糧です。「適度な食事」の良い点が分かれば、適度な制限を設けることの重要度も分かってきます。自分の胃腸が正常に機能するため、今から「好きなだけ食べる」をやめ、地球資源を大切にし、制限を設けた飲食を心掛けましょう。適度を求めると、心も落ち着きます。

人間は一日に三回、食事が必要なのかを考えてみましょう。実際、「飲食に適度な制限を設ける」方法によると、赤ちゃんは1日5〜6回授乳を必要とし、成人は1日2〜4食、寝たきりの人は1日5〜6食必要とされています。人体は、年齢や生理的状態に応じて、必要な栄養素を調整しています。カロリーの摂取量が最も重要で、次にミネラル、ビタミン、タンパク質など、各栄養素のバランスが必要です。

季節季節の旬からは大きな力がもらえます。
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いわゆる、健康的な食事とは、健康食品やサプリメントをどれだけ摂取するかではなく、毎日の運動量や消費カロリーに基づいて自分がどれだけカロリーを摂取すべきかを計ることです。アスリートの場合、必要なカロリーは一般人よりも多くなり、三食に夜食を加え、食事の合間にはおやつも食べます。それなら、アスリートは太っているでしょうか?いいえ。では、アスリートが引退した後はどうでしょうか?必ず太りますし、急速に太ります。

引退後は、以前よりも毎日の運動量が遥かに低くなっていますが、消化系の慣性は意図的に阻止されていないため、摂取カロリーも減少していません。それでは太らないわけがありません。したがって、「何を食べるか」と「どれだけ食べるか」の両方が、節制のある食事の重要なポイントです。

さらに、摂食量不足から生じる空腹感に陥ることがありますが、心理的な依存度が、生理的な必要量をはるかに上回ってしまうことがあります。自分の消費カロリーと食事の摂取量が、適切かどうかを計れず、身体の代謝バランスが安定していないことは、自分を病気のリスクに陥れることにつながります。常に気を付けて、凶を避けて過ごしていれば、自然に吉に趣く、という考え方があります。

(つづく)

(翻訳編集 源正悟)