1000年以上前、現在のイタリア、ヴェローナの北に位置するバルド山の岩壁に沿った薄い岩の窪みに、隠遁生活を送る修道士がいたといいます。 北、西、南は切り立った崖に、東は隣接する谷に囲まれ、崖っぷちの修道院は静かに内省するための精神的な拠り所だったのでしょうか。
今日、隠遁生活を送ったといわれる場所はもはや存在していません。 重力の法則に逆らい、天と地の間に浮かんでいるかのような壁と塔を持つゴシック様式の壮麗な礼拝堂が、その場所にあります。 マドンナ・デッラ・コロナ・サンクチュアリは、生きた岩から半分切り出された狭い高台にあります。
何世紀にもわたり、この山の聖地は多くの変化を遂げてきました。かつては険しく危険だった崖の階段は、観光客や宗教巡礼者の利便性のために近代化されています。バルド山頂からの新しいルートと、山上の大きな町スピアッツィからの急な階段が完成し、現在ではシャトルバスが往復しています。聖域自体は1970年代に大規模な改築と拡張が行われました。
しかし、この教会では、変わらないものもあります。ここは旅行者が多いですが、巡礼者たちはここで礼拝し、さまざまな儀式に参加し続けています。
標高2540フィート(約775メートル)からアディジェ川を見下ろすこの聖域は非常に美しく、13世紀には早くもバルド山の聖母に敬意を表するために、数え切れないほどの人々が礼拝堂を訪れていました。崖の上の最初の教会は1480年に建設され、1522年に奇跡とも言われる形で完成したのです。
伝説によると、天使の介入によって、当時オスマン帝国に占領されたロードス島から、イエスの遺体を抱くマリアが描かれたピエタ像が保護されて、奇跡的にバルド山に運びこまれました。しかし、奇跡的とは言えない別の説によれば、この像は地元の地主ルドヴィコによって寄贈されただけだといいます。
今日、観光客はこの歴史的かつ献身的な芸術作品を見ることができます。現在では、崖を登る道の危険は少なくなりましたが、崖の下にあるブレンティーノ・ベラーノの町からの高さは、依然として困難であり、最も熱心な旅行者だけが登頂に挑戦することになるでしょう。
遠く、教会の銀色の鐘が澄んだ山の空気に響き、ここが特別な場所であることを告げています。 聖堂に近づくと、サーモンピンクの塔と崖面の垂直な構造が空に向かってそびえ立つように見えます。このような外観は、何世紀にもわたって何度も建て直されたためだといわれています。1530年に献堂された教会は、1625年に大改修を受け、サンタ・マリア・バルドと改名されました。
しかし、現在の見事な外壁は1970年代に作られたものとされています。 教会の壁はひび割れていますが、本体はまだそのままで、荘厳な改装と増築を経て、広さは3倍近い6458平方フィート(約600平方メートル)となりました。教会堂の一部の取り壊しに伴い、崖が掘削されたため、内部の北壁の一部と西壁全体が岩から完全に切り出されています。
同時に、ゴシック様式の外壁と塔が追加され、マドンナ・デッラ・コロナ・サンクチュアリと改名されました。教会を取り囲む王冠のような山々を暗示しているといいます。ここはまるで、教会の建物自体が辺りの眺めの美しさを楽しんでいるようにも思えるのです。
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